モンスターの次なる〝最大の敵〟は――。K-1創始者の正道会館・石井和義館長(72)が、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(32=大橋)について熱く語った。井上は昨年12月27日にサウジアラビアで、挑戦者アラン・ピカソ(メキシコ)に判定3ー0で完勝した。石井館長は、この試合を主催者に招待されて現地観戦。中東の熱狂の中、井上の今後を大きく左右するポイントを見抜いていた。

 石井館長は昨年12月、井上の試合を主催したサウジアラビア総合娯楽庁のイベント「リヤドシーズン」から招待を受けて現地入りし、試合を観戦した。その感想を「サウジアラビア自体は、まだそこまで格闘技人気があるという感じではなく『これから盛り上げていきたい』という感じでした。試合には、世界中のファンの人たちが来てました」と振り返る。

 試合は守りを固めたWBC同級2位のピカソをKOできなかったものの、井上が完勝といえる内容で大差の判定勝ち。この結果に「本人も言ってましたけど、調子がいまひとつだったんじゃないかなと思います。お父さん(真吾トレーナー)も終わった後『これではダメだ』と言っていたし…」と指摘する。それでも「調子が悪いなら悪いなりに、ちゃんと修正していけるのが彼の強みですよね」と絶賛した。

尚弥(中)のトレーナーを務める父・真吾氏(左)
尚弥(中)のトレーナーを務める父・真吾氏(左)

 一方で、この「不調」から見えてきたものもあるという。石井館長は「正直に言っていいですか? おそらく、年齢的なものもあるんじゃないかな」とズバリ。そしてこう続ける。「全盛期の井上選手とは、ちょっと違うような感じでした。0・何秒というレベルでズレているんじゃないですかね。あるいは、あと1センチ踏み込めないとか。僕はそういうふうに感じました」

 今回の試合は、ピカソが守備的な動きだったために、仕留めきれなかったとする声が多い。石井館長も同様の考えだが「ピカソは井上選手に、パンチ力があるからアグレッシブに攻められなかったんですよ。一方で井上選手も、相手がもうちょっと突っ込んできてくれたら倒せた。でも、そういう相手でも倒してきたじゃないですか。それができなくなってるのかな、と」という見解だ。

 だが、悲観するものではないという。ベテランになっても活躍できる選手は多いことを挙げ「だから、そこにどう向き合っていくかが、今後の見どころになってくるでしょうね。パンチ力はあれだけあるんだから」と年齢による〝変化〟にどう適応するかがポイントと強調。「その辺は、お父さんはもう見えているはずなので。今後はフットワークを使う速い相手に、どういうふうに対応していくかですね」と視線を鋭くした。モンスターは年齢という新たな敵にどう向き合うのか。