F1の強豪レッドブルに緊急昇格した角田裕毅(24)が、4日開幕の日本グランプリ(GP=鈴鹿、6日決勝)でいよいよ新天地デビューを迎える。角田は大不振のリアム・ローソン(23)に代わって、姉妹チーム・レーシングブルズから電撃昇格。移籍初戦の舞台がくしくも、母国凱旋の鈴鹿となった。世界が注目のレッドブルデビュー戦はどうなるのか。モータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(62)が〝5つのポイント〟を徹底分析した。

 まず注目されるのが、レッドブルの今季マシン「RB21」との相性だ。これまで同チームでは、4連覇王者の大エース、マックス・フェルスタッペンの要望に合わせてマシン開発を行い〝クセが強い〟とされてきた。加えて今季は操縦がより難しい仕上がりになっており、短期間で角田が順応できるかは新天地での成功を大きく左右する。

 小倉氏は「昨年の車よりも今年のほうが、セッティングも走らせ方もより難しくなっている。野球やテニスに例えると〝スイートスポット〟を外してしまうと、ものすごく操縦が難しくなる」と指摘。「前がスッと向きを変えてくれる車は後ろが暴れやすくなる。そういうフェルスタッペンの好みに、角田選手も好みが近いのでそこはプラス」としつつも「(機械でテストを重ねている)シミュレーションと現実は違ってくる。実際には(フリー走行が始まる)金曜(4日)に走り出してみないと分からない」と未知数なのが実情だ。

 レーシングブルズでは、予選で速さを見せながらも決勝でチームの戦略ミスに泣くケースも多かった。レッドブルの戦略面はどうなのか。

「レッドブルは戦略面では上位チームとしての戦い方ができている。チーフストラテジストですごく良い人材がいるし、層は厚い」と小倉氏。〝知将〟として有名なハンナ・シュミッツ主任戦略担当を中心としたレッドブルのスタッフはすご腕ばかりで、角田にとっては追い風となりそうだ。

 レッドブルは製造者部門で昨季こそタイトルを逃したが、2022、23年と連覇している常勝軍団。異例の緊急交代劇と相まって精神的な重圧も気がかりだが…。

「選手としてはすごくプレッシャーがかかる」と小倉氏は強調する一方で、角田の強心臓ぶりに期待。「F1の中でうまく立ちまわっていくやり方ができてきた。舞台度胸がすごくある選手。鈴鹿レーシングスクールでも角田選手より良い成績の選手はいたけど、当時の中嶋悟校長(元F1ドライバー)が残したというのは、そのあたりも理由。勝負強さを持っている」とレジェンドも認めた肝っ玉は大きな武器だ。

 また、不安視されているのがエースのフェルスタッペンとの関係。今回のドライバー交代に際して、ローソンを残留させるよう進言したことが明らかになっている。

「チームの中で主導権を握ってすべてを自分のために動かすには、自分と差があるチームメートのほうがいい。フェルスタッペンにとっては、ローソンが好都合だったのでは」と小倉氏は推測。「逆に角田選手が互角か上回る速さを見せたら、たぶん態度が変わってくる」と絶対王者と火花を散らす展開も予想した。

 以前から角田の昇格に消極的だったクリスチャン・ホーナー代表との関係性も気になるところ。「ホンダの息がかかっているのがすごくイヤなんだろうとは思う」と指摘。角田を支援し、現在レッドブルにパワーユニット(エンジンなど動力源)を供給するホンダは、来季からアストンマーティンと組む。そんな複雑な背景も絡むが「良い成績を出せば『取っておこう』となる。(チームの重鎮)ヘルムート・マルコ博士も結果最重視」と活躍さえすれば、首脳陣との関係は心配なさそうだ。

 角田は日本GPに向けて目標を「表彰台」と自身初の快挙を狙うと宣言。鈴鹿で熱狂を巻き起こせるか楽しみだ。