【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。2011年3月11日に発生した東日本大震災から14年が経過しましたね。僕も11日には黙とうをしました。今も仮設住宅で生活を続けている方、故郷を離れ避難生活を送っている方がいらっしゃいます。時間がたっても決して風化させずに、この日は皆で震災について考えるという習慣が続いてほしいですね。

 さて、そんな願いから今週は、震災がテーマのひとつとなっている20日公開の最新作「少年と犬」を紹介します。

 物語の始まりは震災から半年後の宮城県仙台市。被災して職を失った青年の和正は同じく震災で飼い主を亡くした犬の多聞と出会います。2人は家族となり仲を深めますが、和正が事件に巻き込まれ離れ離れに。その後、滋賀県で女性と共に暮らしていた多聞のもとに和正が現れ、2人と1匹の不思議な生活が始まる――というストーリー。常に西の方角を気にし続ける多聞を軸に、ロードムービーのように日本を縦断しながら人と犬との交流を描きます。

 今回は多聞を演じた俳優、もとい“犬優”のさくらちゃんがとにかくすごかった。通常、犬などの動物を扱う映画はダブルキャストなんですよ、それも2匹以上。しかし今回はさくらちゃん1匹でやりきってる。常に多くのスタッフに囲まれてストレスも多かったと思うんですよ。それも日本中を移動しながら撮影する。大変だと思うんですけど、それを見事に乗り越えた。人が亡くなるシーンでも寄り添うような表情が見事で、淡々としてるけどもひしひしと伝わってくるものがあるなと思いました。

 僕は今作の裏テーマに「救済」があるように感じました。実は登場する人間側がみんな何かしらの傷を抱えているんですよ。それを多聞がどう癒やすのか。人間と犬って昔から共存関係を築いているんですけど、犬の力ってすごいなって改めて思いました。飼い主に対する忠誠心と優しい行動が本当に人を救う。つらいこともあったけど、「この子がいればそれでいいな」と前を向かせるような不思議な力がありますよね。

 東日本大震災でも、愛犬に救われたという方もきっと数多くいらっしゃると思います。多聞が西を見続ける理由、そして仙台から物語が始まることにも大きな意味があります。東北に思いをはせた今だからこそ見てほしい一作です。ぜひ劇場でご覧ください。