中国若手俳優・王星(ワン・シン=31)がニセ映画のオーディションをエサにタイにおびき寄せられ、そこからミャンマーで中国系特殊詐欺グループに監禁された人身売買事件に関して、中国公安省は26日、タイにおびき寄せた〝リクルーター役〟の男(37)を逮捕した。男は出頭して、25日夜に中国に帰国したという。香港メディア「星島日報」が先日、報じた。

 タイのエンターテインメント企業の中国人映画監督を名乗る「顔十六(ヤン・シーリウ)」という男がSNSで王星にオーディションの招待をした。男はオーディションをエサに、少なくとも9人の中国の芸能人をだまして、タイに呼び寄せていた疑いが持たれている。

 被害者はタイの空港で車に乗せられると、タイとミャンマーの国境に連れられ、川1本を隔てたミャンマーに密入国させられた。そして、中国系特殊詐欺グループが運営する〝特殊詐欺タウン〟で、〝打ち子(詐欺メールの送信・作成する実行役)〟や掛け子(詐欺電話を掛ける実行役)〟をさせられているようだ。王星や中国人モデルの楊澤琪(ヤン・ゼキ=25)は救出されたが、その他の被害者はまだミャンマーにいると考えられている。

 そんな中、今回、出頭した男は〝リクルーター役〟という重要な役割をしていたとみられる。

 顔十六なる男は、SNSで「劇場映画『麻薬警察』の俳優募集。全工程がタイで撮影される。詳細は機密事項であり、公開できないが、期間は3か月」として、男女10人の俳優を募集した。そこに応募した王星に対し、男は「あなたを必ず起用する。一刻も早くタイに来てくれ」と促し、タイに呼び寄せた。

 男は実際にアクションインストラクターや映画監督などを経て、俳優コーディネーターとなった人物。その時々で「顔十六」「顔俊楓」「顔君超」「顔超」などと芸名を変えていた。だから、被害者は信用してしまったのだろう。

 男は事件発覚後、SNSで「1か月前、SNSのIDが盗まれて、誰かが自分になりすました。この1か月間に起こったことは、私と関係ない」と主張していたが、うそだったことになる。

 公安省は関係する地方公安機関を派遣して人員救出と事件捜査を実施するなど、一連の事件の捜査に全力を尽くしている。