2002年日韓W杯〝最後の戦士〟がユニホームを脱いだ。元日本代表MF稲本潤一(45=南葛SC)が4日、今季限りでの現役引退を発表した。W杯は3大会連続で出場し、イングランド・プレミアリーグの強豪アーセナルに所属するなど海外でもプレー。元日本代表FW武田修宏氏(57=本紙評論家)はその功績を高く評価し、今後のキャリアへ大きな期待を寄せた。

 日韓W杯では1次リーグでベルギーとロシアから得点し、日本初のベスト16入りに貢献。この日、都内で行われた会見で「あの試合をきっかけに自分の名前を世界の人たちに知ってもらった。インパクトという意味で、あのゴールはすさまじいものがあったのかな」と笑みを浮かべた。

日韓W杯ロシア戦のゴールで世界にアピールした稲本。左は小野伸二
日韓W杯ロシア戦のゴールで世界にアピールした稲本。左は小野伸二

 J1G大阪の下部組織からトップチームに昇格し、01年にアーセナルへ移籍した。トルコやドイツ、フランスのクラブでもプレーし、10年にJ1川崎で国内復帰して、当時J2の札幌、J3相模原にも在籍。22年から人気サッカー漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一氏が代表を務める関東リーグ1部の南葛SCに所属していた。

 引退を決断した理由は「ここ2~3年は毎年引退を考えていて、先延ばしにしていたが、チームを勝たせるパフォーマンスができるか厳しいと感じた」と説明。今後は「指導者の道に行くと思う。現場で悔しかったり楽しかったりという思いを常に感じていきたい」と先を見据えた。

 武田氏は稲本について、まず日韓W杯での2ゴールの衝撃を強調。「自分が01年に引退して初めてキャスターの仕事をしたのが日韓W杯。あの盛り上がりの中で稲本が、ゴールを決めた活躍をすごく覚えている」

 稲本がイングランドでプレーしていた頃、クラブW杯の仕事で渡英する機会があり「現地でアジア人はプレミアで活躍するのは難しいと言われていたけど、歴史をつくったよね」。現在はMF三笘薫(ブライトン)やMF遠藤航(リバプール)らが世界最高峰の舞台でプレーしているが、「彼がいたからこそだと思う」と〝パイオニア〟としての功績をたたえた。

 本人が指導者の道へ進む意向を示していることには「世界で活躍し、経験を積んできたことを次世代の選手たちに還元してほしい。日本にはない、海外のサッカー文化の厳しさや激しい競争をしてきたからこそのプロフェッショナルな考え方を発信していけると思う」と太鼓判を押した。

 さらに武田氏から、こんな要望も飛び出した。「日本でやるんじゃなくて、欧州で(指導者などの)勉強してもいいんじゃないかと思う。(日本サッカー協会は)ドイツのデュッセルドルフに拠点があるんだし、そういうことも考えてもいいんじゃないかな」。指導者としても世界にはばたくことになるのか、稲本の新たな道が楽しみだ。