これが元V9王者の風格か。ボクシングのWBA世界バンタム級タイトルマッチ(24日、東京・両国国技館)で王者の井上拓真(28=大橋)に挑戦する同級9位ジェルウィン・アンカハス(32=フィリピン)が20日、都内で練習を公開した。視察した大橋ジムの大橋秀行会長は、拓真の「過去一番の強敵」と断言。WBC世界ミニマム級王座を21度防衛し、現役時代の大橋会長の大きな壁となったリカルド・ロペス(メキシコ)、元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)ら名王者と、アンカハスは同じレベルにあるとの評価を下した。

 IBF世界スーパーフライ級王座を9度防衛した実績を持つアンカハスはシャドーボクシング、ミット打ち、ボール打ちなどで軽めに調整。大橋会長と拓真の父である真吾トレーナーが視線を送る中、動きを確認するかのようにリズミカルな身のこなしから回転のいいコンビネーションなどを繰り出して調子のよさをうかがわせた。

 これを見た大橋会長は「パンチもリズム感があるし、軽く打っててもスナップが効いた打ち方をしている」と評価。9度防衛後にフェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)に連敗したことは「減量苦が理由で負けたような試合」とし、「減量から解放されて、一番強いアンカハスとぶつかるんじゃないか。過去一番の強敵」と警戒を強めた。

 アンカハスは終始温和な表情。練習前には、この対戦が拓真の負傷により延期になったことを大橋会長から謝罪されると「ノープロブレム(大丈夫です)」と笑顔で受け入れるなど、好感が持てる振る舞いも見せた。大橋会長は「雰囲気がある。落ち着きを感じる。思い起こせばリカルド・ロペスとかローマン・ゴンサレスのレベルじゃないかな」と感心しきりだった。

 それでも、「そんな相手と試合できるなんて、相手にとって不足はない。拓真が勝てば大きく伸びると思う」と、この一戦を前向きに受け止めている。名王者の壁を突き破ることができるか。