自民党の菅義偉前首相が12日のテレビ番組で、江戸城再建に言及したことが話題となっている。コロナ禍が明けて外国人観光客が増えている中で、東京のランドマークとして江戸城が求められているというのだ。SNSでは「江戸城なんかいらない」と批判が渦巻いている。

 菅氏はフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演。インバウンドの特集が行われ、東京にも世界遺産的なランドマークが必要だということで江戸城天守閣の再建論が浮上していることが取り上げられた。この件に菅氏は「ご熱心な方々がたくさんいて再建論がある。ただ、推進するためには大きな一つの方向性と世論をつくらないと進まない。なかなか簡単じゃないというのが私の理解」と慎重に語った。

 一方で「もったいないというか、設計をしたものが出てきたとかありましたけど、その判断をするのは重い判断だと思います」と告白。設計に使える資料があるからチャレンジはできるが、取りまとめるのは大変だとの認識を示した。

 反響は大きく、「X」(旧ツイッター)でも「江戸城天守閣」が話題となった。「そんなもの作る必要はない」「税金をドブに捨てるのが好きだな」「万博以上に完全に不要じゃん」などと否定的な書き込みが相次いだ。

 江戸城天守閣の再建といえば、日本維新の会の松沢成文参院議員の持論として有名だ。松沢氏は神奈川県川崎市、菅氏は同横浜市が地盤だが、どうして神奈川県選出の政治家が江戸城天守閣の再建に関心を持つのか。かつて松沢氏は「実は横浜と川崎って武蔵の国なんですよ。相模の国じゃない。お城でいうと小田原城じゃなくて江戸城なの。みんな神奈川県だから江戸城じゃないだろうって言うんだけど、横浜って昔の武蔵の国だったわけだから」と熱弁していた。

 もっとも菅氏が番組で指摘した通り、再建でまとまるのはなかなか難しそうだ。永田町関係者は「法律上の問題があるし、宮内庁との調整も必要になります」と指摘。NPO法人江戸城天守を再建する会の公式サイトでも建築基準法では木造建築が3階建てまでとなっていることがネックだとされている。また、皇居を見下ろすような形になることに懸念の声もあるという。

 かつて江戸城は1657年に起きた明暦の大火によって焼失。当時の将軍補佐役だった保科正之が街の復興を優先させるべきと天守閣の再建を見送り、そのままとなっていた経緯がある。余裕のある世の中でないと厳しそうだ。