【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#536】日本各地において、巨大魚をはじめとして大蛇などといった巨大生物の報告例は非常に多い。特に北海道はその土地の広さも相まって、巨大生物の目撃例は数知れない。まるで雄大な自然が多くの生物をダイナミックに育んでいるかのようである。
例えば、道東オホーツクエリアの斜里町では、グリズリー並みの「巨大ヒグマ」が捕獲されたことがあり、道央札幌市を流れる石狩川支流の豊平川では巨大魚「豊太郎」の存在がささやかれている。また、同じく道央の千歳市にある支笏湖でも、巨大な怪魚が観光客や釣り人を通して、たびたび目撃されているという。北海道は巨大生物の宝庫なのだ。
道東釧路エリア、川上郡弟子屈町に摩周湖というカルデラ湖がある。世界ではバイカル湖についで2番目に、そして日本では最も透明度の高い湖と呼ばれており、面積規模も日本の湖沼では20番目を誇っている。布施明の歌謡曲「霧の摩周湖」で知名度を高めたそのタイトルの通り、濃霧が発生することがあり、その濃度は湖面が見えなくなるほどであるという。
1975年、北海道水産部の職員が、彼の友人の父が捕獲したという「巨大ザリガニ」を見たのだという。そのザリガニは車のタイヤに載せてみると尻尾の先がはみ出て地面につくほどに大きかったというのだ。全長は1メートルという驚くべきサイズであり、胴体部だけでも50センチはあったらしい。彼はぜひ標本にしたいと頼んでみたが、断られてしまい、カメラ撮影も許してもらえなかったという。残念ながらこの時のザリガニは記録として残っていない。しかし、巨大ザリガニの報告はこれだけではなかった。
1985年、調査員の3人がボートに乗って摩周湖に生息するマスを調査していた。摩周湖はもともとエゾサンショウウオのみが生息していたが、大正時代にニジマスの産卵やふ化事業が開始され、それ以来ニジマスをはじめヒメマスやエゾウグイ、スジエビなどが放流された。先述した摩周湖で発生する濃霧の際には、湖面が見えなくなることを利用してマスの密漁も起こっていたという。
さて、その調査中のこと、調査員の3人がなんと巨大ザリガニを目撃したというのだ。捕獲したとの話もあるが、詳細については分かっていない。
この巨大ザリガニは果たして何者なのだろうか。実をいうと、特定外来種であるウチダザリガニではないかと言われている。ウチダザリガニは本来北米に生息するザリガニであり、体長はニホンザリガニやアメリカザリガニに比べると大きく体長15センチメートルほどに成長する。ことの発端は1926年、食用を目的としたウチダザリガニの移入が実施され、1930年までに数度輸入されることとなった。摩周湖では、ウチダザリガニがオスメス合わせておよそ500尾近く放流され、定着したと言われている。後に密漁者によって30センチメートル余りのウチダザリガニが捕獲されたという記録もある。
摩周湖の巨大ザリガニは、巨大化した外来種のウチダザリガニであることはほぼ間違いないだろう。ウチダザリガニは雑食であり、巨大化するには豊富な食糧環境であったに違いない。
しかし、摩周湖はこうした度重なる魚類や甲殻類の放流によってミジンコが激減して植物プランクトンが増加、その結果水質汚濁が懸念されているという。摩周湖の巨大ザリガニは摩周湖そのものの魅力を失わせかねない罪を背負わされた悲しき存在なのだ。
【参考文献】山口敏太郎「本当にいる日本の『未知生物』案内」












