【前年より良化したのは?】
ストレスチェックでは、働く人は質問に答えることで、自身のストレス状態を知ることができる。検査結果を分析しているストレスチェック研究所の服部恭子チーフアナリストは「ストレスのうち安定報酬、役割葛藤、情緒的負担などの項目は前年に比べてむしろ良くなっているのです」と指摘する。同研究所はストレスチェックサービスを受託している株式会社ドクタートラストの研究機関である。
服部さんの指摘した安定報酬のストレスは「職を失う恐れがある」という設問に対する「そうだ、まあそうだ」「違う、やや違う」という回答状況から読み取ることができる(図表1)。2022年度の結果は前年に比べて「そうだ、まあそうだ」という回答が2・1ポイント減少しており、ストレス度合いが良化しているデータが出ている。
役割葛藤のストレスは「複数の人からお互いに矛盾したことを要求される」という設問の回答状況から算出する(図表2)。前年より1・9ポイント良化している。
また情緒的負担のストレスの良化も「感情面で負担になる仕事だ」という設問の回答状況に傾向が表れている。前年より1ポイントだが良化が見られる(図表3)。
【ストレス軽減のワケ】
こうしたストレス項目の良化傾向のデータについても、前回の分析と同様にコロナ禍が影響している面と、それ以外にも企業を取り巻く大きな潮流の影響があると服部さんは言う。
「2022年10月時点で正社員の人手不足を感じている企業の割合は50%を超えていると帝国データバンクが発表しています。企業のこうした人手不足感を背景にした人材確保策が、働く人たちの職を失うリスクを軽減し、ストレス良化につながったと考えられます」
少子高齢化の日本では特に若い働き手に悩む企業が少なくない。さらにコロナによってサービス業をはじめ人手不足を加速させた業種、職種もある。その対策として、企業は人材確保のために働き方改革や人事制度の見直しなどに力を入れるようにもなっている。
そういう大きな潮流の中で影響を受けて安定報酬ストレスが減ったと考えられるという。役割葛藤と精神的負担の項目についても、そうした影響があるかもしれない。
働き方改革に併せて社内にハラスメント対策を導入する企業も珍しくなくなった。社内コミュニケーション改善のための制度、特にコミュニケーション研修なども充実する傾向にある。それによってストレスチェックの設問の「複数の人からお互いに矛盾したことを要求される」ことが減ったり、働く人自身も仕事に対して精神面での負担をうまくコントロールできたりするようになったとも考えられる。
「人材不足が深刻化しているだけに働く人のストレス状況を会社が把握して改善していくことは従来以上に重要になっています。ストレスチェックの結果を、ぜひ職場環境の改善に役立ててください」と服部さんはアドバイスしてくれた。














