快挙達成はなるか。大相撲秋場所11日目(20日、東京・両国国技館)、優勝争いで単独トップの幕内熱海富士(21=伊勢ヶ浜)が、小結翔猿(31=追手風)を上手投げで破り10勝目(1敗)。後続に2差をつけて独走態勢に入った。出場力士で幕内最年少の21歳が見せる勢いは本物なのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)が快進撃の裏側に迫った。
熱海富士が初挑戦の役力士も難なく撃破した。翔猿を右四つで組み止めると、上手投げで豪快に転がした。取組後は「勝ててうれしいです。緊張することもないし、落ち着いていけたかな。いつもテレビで見てる人と相撲を取れているのがすごい」と満面の笑み。優勝争いで単独首位を守り、後続に2差をつけて独走態勢に入った。この快進撃は本物なのか。
秀ノ山親方は「素晴らしい相撲内容。何をしてくるか分からない翔猿に対して、立ち合いから怖がらずに当たっていた。ヒザも曲がって前傾姿勢だから、しっかり相手に圧力が伝わっている。今場所は重い相手にも押されていない。成長したと感じる」と絶賛した。出場力士では幕内最年少の21歳。急成長の裏側には稽古環境があるという。
秀ノ山親方は「まず、部屋に横綱照ノ富士がいることが大きい。普段から一番強い力士に胸を借りられる。本場所の対戦相手は横綱より全員下だから、自信を持って臨める。自分も現役の時は部屋に琴光喜関と琴欧洲の両大関がいた。琴光喜関の当たりや、琴欧洲のまわしをつかむ腕力に比べたら、他の力士は大したことはないだろうと思えた。むしろ、本場所のほうが気楽にいけていた」と指摘する。
さらに、横綱以外にもさまざまなタイプの力士と稽古ができることも熱海富士の強み。「小兵の翠富士や錦富士といった前さばきのうまい力士がいるので、翔猿のようなうるさい相手でも心に余裕を持って対応できる。他にも左四つの宝富士がいるし、稽古相手には事欠かない。豊富な稽古でつけた自信が、土俵上の落ち着きにもつながっている」と分析した。
このまま初優勝を果たせば、貴花田(19歳5か月)、大鵬(20歳5か月)、北の湖(20歳8か月)に次ぐ史上4位の年少記録。秀ノ山親方は「もちろん優勝の可能性はある。ここから上位の壁を乗り越えられるかが、大きな見どころ。残り4日間を盛り上げてほしい」と期待を寄せた。その熱海富士は「優勝とかは特に考えていない。まだ4番あるので、残りも頑張りたい」。快挙に挑む若武者の土俵から目が離せない。












