ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡って、同事務所が13日に発表した被害補償や再発防止策の内容が「ズレまくり」と批判を浴びている。CMクライアントはジャニーズタレントの起用見合わせを発表し、この流れは止めるすべはなし。もはやジャニーズとは無関係の新会社を設立するか、他事務所に移籍という道を取るしかない状況に追い込まれている。

 ジャニーズ事務所は公式ホームページで3人の弁護士からなる「被害者救済委員会」を設置するとともに、補償受付窓口を開設するなど具体的な補償方法を発表。また、再発防止策として外部のチーフコンプライアンスオフィサーによる人権の基本方針を策定し、研修の実施、ガバナンスを強化するとしている。

 さらに「今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません」と〝事務所ノーギャラ宣言〟を発表した。

 7日の会見では具体的な補償方法が発表されなかったこともあり、一歩進んだ形とは言えるが、CMクライアントが軒並みNGを突きつけた後だけに、すべてが後手に回っていると言わざるを得ない。

 ある広告関係者は「今は企業としてジャニーズと取引しているということは、人権侵害を認めることになるという認識にまで達している。事務所がCMギャラをもらわなければいいというわけではなく、ジャニーズ事務所と契約していることが問題なのです。事務所ノーギャラ案が出てくること自体、感覚がズレている」。

 さらにノーギャラを1年間としたことで、「ほとぼりが冷めるのを待っているのか」「タレントを繋ぎとめるための小手先の策」といった批判も出ている。

 この日もモスバーガーが一度はCM継続と発表したが、一転してジャニーズタレントの広告展開の中止を発表したほか、明治も広告発信を順次中止。サッポロホールディングス、カゴメも現在の契約満了後は更新しない方針だ。農林水産省も農業関連の情報発信を担う「ノウフクアンバサダー」に任命した「TOKIO」の城島茂の活動を当面見合わせることを明らかにした。中央省庁でジャニーズ起用回避の動きが明らかになるのは初めて。

 今回、発表した被害補償や再発防止策によって、CMの〝見直しドミノ〟の流れが止まるかといえば、その可能性は低い。

「藤島ジュリー景子氏が社長を退いたとはいっても、代表取締役にとどまる上に会社の株を100%持ち続け、事務所名がそのままであることに変わりはありません。今回の発表でもそれらの点には触れられなかった。CM見合わせの流れは今後も続くことでしょう」と同関係者は言う。

 所属タレントには罪はないが、ジャニーズの所属タレントであり続ける限り、この流れに巻き込まれることは避けられない。ジャニーズファンの中には「違う事務所に移籍してくれ」と声を上げる者もいるが、もはやそれぐらいしかないのが現状だ。

 ある芸能プロ関係者は「ジャニーズ事務所は被害者の補償を専門的に行う会社としてのみ存続すればいい。所属タレントはジャニーズと縁を切り、ジュリー氏の息がかからない別の会社を立ち上げるくらい、ドラスチックな改革が必要でしょう。今のままでいれば、タレントも共倒れになってしまう」と指摘する。

 ジャニーズという名前を残し、旧体制の影響力を維持しようとしたばかりに、崩壊がまた一歩近づいている。もはや待ったなしだ。