歌舞伎俳優・市川猿之助被告(47)の初公判が10月20日に決まった。興行を担う松竹としては歌舞伎界きっての集客力を誇る同被告の復帰を見据えているが、他の屋号を持つ役者からはソッポを向かれているという。その理由とは――。

 猿之助被告に代わり、「澤瀉屋(おもだかや)」を背負う歌舞伎俳優の市川中車(香川照之=57)は歌舞伎に捧げる覚悟を示した。

 25日、自身が代表取締役を務め、自然教育事業を手がける「ARANCIONE」の公式サイトで、今後の活動への思いを明かしたのだ。

 香川は、昨年8月に銀座ホステスへの性加害問題が報じられたが「今では、自分自身を見つめ直し、自分にとって本当に大切なものは何かを考えるよい機会をいただいたと感謝しております」とし、今後は「歌舞伎」と「昆虫」に命を捧げると明言。「歌舞伎と昆虫を通した生態系保全に人生の残りの時間を粛々と費やしていきたい」と決意した。

 猿之助被告の初公判が決定した直後に示された〝覚悟〟。その背景には澤瀉屋、そして猿之助被告の復帰をめぐる複雑な思惑が渦巻いている。

「猿之助被告が出演予定だった公演の中止などで、松竹は数億円の損害が発生したといわれる。ただ、慣習として、役者個人に損額請求をすることはしない。松竹とすれば、歌舞伎界きっての集客力を誇り、企画力やプロデュース力でも秀でた才能を持つ猿之助被告に何とか復帰してほしい。興行を成功させる形で、損害を返してほしいと願っている」(梨園関係者)

 もっとも当の猿之助被告は中車らに「もう表舞台には出たくない」と、歌舞伎界から引退する意向を漏らしたとされ、だからこそ中車は「歌舞伎界」に命を捧げると決意表明したと言える。

 今なお猿之助被告の復帰を願う歌舞伎ファンも多いが、澤瀉屋以外の屋号を持つ役者や関係者は猿之助被告に厳しい視線を向け、「復帰してほしくない」とまで口にしているという。それは今回の事件で猿之助被告の母はもちろん、父で歌舞伎俳優の市川段四郎さんも〝犠牲〟になっているからだ。

「わき役のイメージこそ強いですが、努力し続けた方で、奔放な役者が多い歌舞伎界でも悪いうわさがなかった。温厚な人柄で澤瀉屋以外の多くの人にも慕われており、猿之助被告の行った行為を今でも『許せない』と憤っている。松竹は復帰を模索していますが、段四郎さんを慕う人たちの反発が予想されます」(同)

 猿之助被告の量刑次第で歌舞伎界が再び混乱するかもしれない。