【今週の秘蔵フォト】1980年代に大人のムード満点のルックスと卓越した歌唱力で、ジャズファンだけでなくあらゆる層から人気を集めたジャズシンガーが阿川泰子だった。

女優で成功していたら…
女優で成功していたら…

 元々は女優を目指して文学座に合格。演劇を学ぶも1年で退学し、出演した映画も数えるほどだった。73年にジャズシンガーに転身して、都内のライブハウスで知名度を上げていった。

 78年には一流ミュージシャンをバックにしたアルバム「Yasuko“Love―Bird”」でデビュー。81年には「フラミンゴ・ビッグ・バンド」を結成。スタンダード曲を現代的なアレンジで歌い、その美声は「シュガー・ボイス」と呼ばれた。CM曲提供や自らCMに登場するなどして、ジャズでは珍しいアイドル的人気を獲得。デビューから約5年間でアルバム90万枚を売り上げてジャズに新風を吹き込み、新たなブームの立役者となった。

恋人?そんなもんいませんよ
恋人?そんなもんいませんよ

 82年9月8日付本紙には人気絶頂期の阿川のインタビューが掲載されている。記者はお色気中心に話を聞こうとしたようだが、事前に9月に発売されるアルバムの話から聞いてくれとクギを刺されたようだ。

あなたに言う必要あるかしら
あなたに言う必要あるかしら

「『Fine!』という7枚目のアルバムが出るの。発売にちなんで10月19日から全国6か所で『ビバ!ブラジル』というキャンペーンをやるんです」と好調を維持していた時期だった。

 話が男性のことに及ぶと「仕事が忙しくて忙しくてそんなもんはいませんよ。いなくたっておかしくないし、仕事だけというのもあっていいんじゃない。黒柳(徹子)さんもそうでしょ。あなたに言う必要もないでしょ」と気の強いところを見せている。

桃井さんに似てる? そうかもしれませんね
桃井さんに似てる? そうかもしれませんね

「ステージではいろいろ話すの。よく笑ってくれるわ。女優で成功していたら歌っていないとかね。(文学座の同期は)松田優作、高橋洋子。一期上には桃井かおりさん。みんなクセがあるひとばかりなの」と語った。桃井に似ている、との問いには「毒々しいところがでしょ。私って毒々しい女なの」と笑った。

 その後も絶えることなく活動を続け、今年5月6日には「東京国際音楽祭2023 ~ジャズマラソン2023 Spring」に出演。往年と変わらない美しさと声でファンを魅了し続けている。