歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)が28日、両親への自殺ほう助の罪で東京地検に起訴された。猿之助被告の弁護人は即日、東京地裁に保釈請求した。

 猿之助被告は5月17日午後~18日午前、東京・目黒の自宅で母延子さんに睡眠薬を服用させて自殺を手助けした疑いで6月27日、警視庁に逮捕され、父段四郎さんにも同様に自殺を手助けした疑いで7月18日、警視庁に再逮捕されていた。

「警視庁は殺人容疑での逮捕も視野に入れていましたが、猿之助被告が両親に睡眠薬を飲ませた後、その袋を自宅外のゴミ捨て場に捨てたため確たる物証は得られず、痛恨でした」(捜査関係者)

 猿之助被告は5月18日発売の「女性セブン」で、性加害やハラスメントの疑惑を報じられることを悲観。両親と「〝次の世界〟に行こう」などと話し合い、睡眠薬を服用したと警視庁の聴取で供述した。いわゆる〝輪廻転生〟だ。

「聴取では仏教に関して熱弁してあ然とさせたそうです」(同)

 猿之助被告は熱心な仏徒だ。特に哲学者で仏教の研究者だった故梅原猛氏から影響を受けた。同氏は、猿之助被告の屋号「澤瀉屋」が十八番にするスーパー歌舞伎の演目「ヤマトタケル」(1986年~)で脚本を手がけたことで知られる。

 猿之助被告は歌舞伎のかたわら、仏教の魅力を伝えるテレビ番組や書籍などのオファーを積極的に受けた。オファーしたクライアント関係者は「猿之助さんは学力優秀で10代のころ、梅原氏の著書をすべて読破しました。同氏の著書では『仏教の思想』(80年)がお気に入り。仏教の宗派の一つ、天台宗の総本山の比叡山延暦寺には足しげく通いました。20年以上にわたり熱心な仏徒として活動しています」と話す。

 仏教関連で共著「猿之助、比叡山に千日回峰行者を訪ねる」(2016年)を発表。同書内では「仏教の無常観」として「苦しみから逃れたい、だから自ら命を絶ってしまう。けれども、永遠に続く苦しみなど絶対にない」と記していた。

〝永遠の苦しみ〟はないと悟っていたはずだが、自身の性加害やハラスメントの疑惑報道を苦にして両親を巻き込んで睡眠薬に手を出した。

「自身をめぐる報道で一家心中を図ったとする動機の供述には論理の飛躍があるとして、警視庁は慎重に捜査しました。でも、この点だけはいまいち解明できなかったようです」(同)

 猿之助被告の〝住む世界〟は一体どこにあったのか。