母親に対する自殺ほう助容疑で逮捕された歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)が主演予定だった東京・歌舞伎座「七月大歌舞伎」が3日、幕を開けた。
昼の部「通し狂言 菊宴月白浪(きくのえんつきのしらなみ)」では、いとこである市川中車(香川照之=57)が代役主演。同作は、中車の父・三代目市川猿之助(現・市川猿翁)が1984年に163年ぶりに復活させた演目で、上演は32年ぶりとなった。
クライマックスは、中車が名門「澤瀉屋(おもだかや)」の〝お家芸〟であり、父・猿翁の代名詞だった「宙乗り」への初挑戦だ。ワイヤロープで吊り下げられ、舞台や客席の上を移動する演出になっている。中車が舞うと大きな拍手が起こり、涙する観客もいたという。
「中車さんは猿翁さんと長い間絶縁状態だったが、2012年、46歳の時に歌舞伎界入りした際に和解した。両者の関係修復に尽力し、中車襲名につなげたのが猿之助さん。中車さんが代役という思わぬ形で、父の代名詞を継承することになったのは〝運命のいたずら〟を感じる」(梨園関係者)
中車は「六月大歌舞伎」(6月3日~25日)で久しぶりの主演を務めたが、それを後押ししたのも猿之助容疑者だった。同公演で2人は共演する予定だったが、事件の影響で猿之助容疑者は休演となった(代役・中村壱太郎)。
それだけではなく、中車は昨年8月に銀座ホステスへのセクハラ報道で、複数のレギュラー番組やCMを降板。一時活動自粛していたが、猿之助容疑者が「澤瀉屋」当主として歌舞伎界への復帰もバックアップしてきた。
一方、騒動前から俳優業中心だった中車に、猿之助容疑者は常々「アイツは歌舞伎の稽古が全然足りない」などと厳しい言葉を投げかけていた。
「猿之助さんも多数の人気ドラマに出演していましたが、稽古をおろそかにせず、コロナ禍で苦境の歌舞伎界のためチケット販売にまで奔走していた。猿之助さんが稽古に付き合っていた際は、10歳年上の中車さんにも遠慮せず、〝罵倒〟することもあった。中車さんが宙乗りを成功させたのは、歌舞伎に対する猿之助さんの厳しい指導があったのは間違いない」(同)
父・猿翁は5000回以上、猿之助容疑者は1400回も観客を魅了してきた〝宙乗り〟。中車はさまざまな思いを胸に千秋楽の28日まで飛んでいく。












