プロボクサー、タレントとして愛されたガッツ石松(本名・鈴木有二)さんが天国に旅立った。ボクサー時代は「幻の右」とも評された右ストレートを武器に、WBC世界ライト級チャンピオンとして名をはせた。引退後はタレントとして活躍し「OK牧場!」で一世を風靡。真っすぐ明るい人柄で芸能界でも愛された。

 所属事務所のガッツエンタープライズによると、ガッツさんは6月2日に肺炎のため都内の病院で亡くなった。76歳だった。同事務所は「ガッツポーズをするたびに、ガッツ石松を想い出していただければ幸いです。OK牧場!」と報告した。

 栃木県出身のガッツさんは上京後の1966年にボクサーとしてプロデビュー。69年にライト級で全日本新人王を獲得すると世界戦へ。74年にWBC世界ライト級王者のロドルフォ・ゴンザレスを「幻の右」とたたえられた右ストレートで撃破し、チャンピオンとなった。この時に両手の拳を掲げた姿が「ガッツポーズ」として広く知られるようになった。5度の防衛やWBC世界スーパーライト級への挑戦を経て78年に引退した。

 その後は、リングから一転して芸能の道へ。俳優として「北の国から」「おしん」などの名作に出演したほか、ハツラツとしたキャラクターを生かしバラエティーでも活躍。決めゼリフの「OK牧場!」は04年の流行語大賞にノミネートされた。

 ユーモアに富み、まっすぐながらも愛らしい性格が芸能界でも愛された。「ガッツさんはスポーツ界出身の〝天然〟タレントの代名詞とも呼べる方です。番組にいるだけで自然に笑いが起き、MC、ひな壇の芸人がつっこむことでヤマができるので本当にありがたい存在でした。当時、ゲストに困ったら真っ先に名前が挙がっていましたよ」(キー局関係者)

 バラエティーでは、次々に繰り出される天然ボケで人気を集めた。たびたび共演したタレントの大原かおりが取材に応じ、当時を回顧。「番組でご自身の名前をボードに書くシーンがあったのですが『ツ』と『シ』を間違えたのか、『ガシシ石松』と書いていてご本人含めて皆で大笑いした思い出があります」と明かし、追悼した。

 晩年、ガッツさんは数々の天然発言はあくまでテレビ用だと語っていたが…。いずれにせよ、人を笑顔にする才能に恵まれたのは間違いない。

 タレントとして成功した一方で、2010年には社会貢献を目的にプロボクシングの「世界チャンピオン会」も立ち上げるなど、ボクシング界へ貢献し続けた。やはり、筋金入りのボクサーらしく、お気に入りの一本はあの伝説的映画だったという。

「あるバラエティー番組の楽屋で『好きな映画』の話題で盛り上がったんです。何気なくガッツさんにも尋ねたところ、『ロッキー』が好きだと。考えてみれば当たり前のことで、一同で『そりゃそうだ!』と腹を抱えましたね。偉大な世界チャンピオンであることを忘れさせるくらい、温和で優しく気の良い方でした」(別のキー局関係者)

 ボクサーとして、俳優として、タレントとして――広く愛され続けた。