カギはナックルにあり。キックボクシングからボクシングに転向した〝神童〟こと那須川天心(24=帝拳)は、8日のデビュー戦で与那覇勇気(真正)を完封し、6ラウンド(R)判定3―0で圧勝した。この試合を、現役時代に外資系金融機関の営業マンとの二足のわらじで日本スーパーライト級王者になった異色の論客・細川バレンタイン氏(41)が徹底解剖。さらなる進化に欠かせぬポイントを指摘した。

 那須川は軽やかなステップと多彩なパンチを披露し、2Rには相手の攻撃を空振りさせてから右フックでダウンを奪取。KOこそならなかったものの、判定3―0で完勝を収めた。現在、会社経営の傍ら公式ユーチューブチャンネル「前向き教室」で発信も行っている細川氏は、この試合を会場で観戦。「被弾はほぼ0。それをデビュー戦でいきなり(日本)ランキング上位の選手にできるのは化け物ですよ。1RでKOするより難しいです」とそのディフェンス力に舌を巻く。

 一方で攻撃力に疑問符をつける声が上がったのも事実。那須川自身も反省を口にしたが、細川氏は「現時点では、パンチに決定的ダメージを与えるだけの威力はないということではある」と認める。しかし「ただ、実際はそこまでパワーがないわけじゃないと思います」と前置きし、こう続けた。

「パンチのパワーって『力×スピード』なんです。だからあれだけのスピードがあれば、力が普通にあればパワーもあるはず。じゃあ、なんでパワーがないか。後で映像を見て分かったんですけど、天心はスピードにこだわりすぎて、自分のナックルを相手の急所に〝正面衝突〟させられていないんだと思います」

 細川氏は、拳の最も硬い部分(ナックル)を相手の急所に真っすぐ打ち込むのがパンチのポイントだと力説。「これを今、日本で一番うまくできるのが井上尚弥なんです。一方で天心は速いけど、当たっているのがナックルじゃなかったり、正面衝突していなかったりしている。だからエネルギーをロスしているのでは」と分析した。だからこそ、そこに伸びしろがあるということ。「つまり、キャリアを積んでうまくなれば、必然的にダウンを取る選手になると思います」と断言した。

 最後に「天心はパンチ力に依存する戦い方じゃない。だけど、ナックルを正面衝突させられるようになれば、今よりも楽に、もっと強い相手を倒せるようになると思います」と予想する。これからの神童の戦いにますます注目が集まりそうだ。