「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などの作品で知られる漫画家の松本零士さんが13日、急性心不全のため都内の病院で死去した。85歳。福岡・久留米市出身。創作原点は、福岡・小倉で過ごした幼少期にあった。

 1938年に福岡・久留米市で生まれ、小学3年の時に小倉に移り住んだ。生前の取材では、幼少期について「家の前に朝日新聞西部本社があって、輪転機が回る様子を1人で眺めていた」と回顧。当時は朝鮮戦争があり「米軍から国連軍までが来ていたもんですから、あらゆる国の映画を見ることができた。まだ子供が見てはならんような映画も見ました」と映画を通じ、海外の文化に触れた。

 さらに「米兵が捨てていったアメリカンコミックも5円、10円で売られていた。それが一大学習となったわけです」と松本少年に多大な影響を与えたという。

 第2次世界大戦、朝鮮戦争の戦後という激動の時期を経験した。

「亡国の民として、日本国落城の直後の悲惨な状況を、この目で見ている。1000年に一度あるかないかという瞬間に生まれ、そこで生き、夢を描いた。参考資料のるつぼの中に入れたのは非常にありがたかった」と過酷な体験を創作の原動力にした。

 2005年にオープンした広島・呉市の「大和ミュージアム」の名誉館長を務めた。10年に呉市の商店街に「ヤマトギャラリー零(ZERO)」がオープンした際には「私の昔の作品を見て『こんなに下手くそだったのか。ならば』と勇気づけることができればうれしい。下手でも一生懸命、夢をかけて描いたわけです。子供たちと一緒に夢を見たいと思います」と語っていた。