各地で相次いでいる一連の広域強盗事件で、警察当局がフィリピンの首都マニラにある入管施設に拘束されている日本人の男4人の日本への移送を現地当局に求めていることが27日、分かった。指示役の疑いがある「ルフィ」を名乗る人物が含まれているとみられる。4人はいずれも特殊詐欺事件で警視庁が逮捕状を取得しており、強盗事件との関連を調べる。ルフィが入管施設に入った経緯、そしてどうやって指示を送っていたか追跡した――。
捜査関係者によると、移送を求めているのは渡辺優樹容疑者と今村磨人容疑者ら4人。渡辺、今村、A、Bと複数がルフィを名乗り、実行役に指示した可能性がある。フィリピンのレムリヤ法相は、ルフィと名乗る人物が、この施設で2021年から拘束されている日本人だと共同通信に明らかにした。犯行グループの一員とされる日本人Aも同施設に拘束中で、書類などが整い次第、日本に強制送還すると説明した。ローマ字表記では渡辺、今村両容疑者と同姓同名という。「ルフィ」と名乗る人物らは、拘束下で規則に反し通信機器を使用、入管職員が黙認していた可能性がある。
警察庁によると、強盗事件は昨年以降、関連が疑われる窃盗などを含め14都府県で少なくとも計20件発生。一部の事件で実行役とみられる三十数人が逮捕されている。
捜査関係者によると、4人はフィリピンを拠点とした特殊詐欺グループのメンバー。窃盗容疑などで逮捕状が出ている。
警察庁は27日、14都府県警の刑事部長らを集めて捜査会議を開催。首謀者の摘発、ルフィと名乗る人物らグループの全容解明に向け、捜査情報の共有を進める。
21年、渡辺容疑者に対し、インターポール(国際刑事警察機構)が青手配書の国際手配書を各国に通知していた。青手配書とは、被手配者の所在、犯罪歴などの情報を各国に求めるもの。引き渡しを求め、被手配者の身柄拘束を求める赤手配書ほど強い手配ではなかったが、各国の警察が渡辺容疑者を認識していた。
日本は特殊詐欺の容疑で追っていた。21年5月、フィリピン警察が超高級ホテルに滞在していた渡辺容疑者とAを含む計3人にパスポートと外国人登録証の提示を求めたが、提示できなかったため、不法入国の疑いで3人を逮捕した。うち1人は正規のパスポートとビザを持っていたため、釈放された。
そして、渡辺容疑者とAが入国管理局の収容所に収容された。渡辺容疑者は日本に強制送還され、日本で裁かれるはずだったが、フィリピン国内でもオンライン詐欺や窃盗、恐喝をしていたようで、フィリピンでも起訴され、被告となっていた。そのため、強制送還が保留となっており、現在に至っている。この刑事裁判が取り下げられれば、日本へ送還されるが、裁判で実刑判決を受ければ、服役後の引き渡しになるという。特殊詐欺のマニュアルを作成した人物を知る元暴力団関係者は「おそらく渡辺容疑者がボス。ルフィ、キム、ミツハシなどと名前を使い分けていたのは、実行役チームを複数抱え、混同しないためでしょう。特殊詐欺の『受け子』が強盗の『実行役』に置き換わった犯罪ですが、なぜ置き換えたかというと、約10年前に渡辺容疑者自身が窃盗グループの現場役をやっており、効率の良さを体感していたからではないでしょうか。情報屋から『あの家に今、現金がある』という情報を得て、盗んでいたんです」と指摘する。
特殊詐欺では“金持ちリスト”に載っているターゲットをだますため、銀行員役、警察官役、弁護士役など掛け子(電話をかけてだます役)を何人も用意し、何日も電話をかけ、受け子に現金を受け取らせるが、だませないことの方が多い。
「家に現金があると分かれば、盗みに入った方が手っ取り早いと思っていたんでしょう。渡辺容疑者のような知能犯は、後で警察にネタ元を知られないよう、スマホに電話番号を登録せず、100件ぐらいは暗記している。フィリピンで収容所に入って、ゆるい状況の中で賄賂を払ってスマホを手に入れ、記憶していたネタ元と連絡を取ったんでしょう。だからこそ自分はフィリピンの収容所という“安全”な場所から指示を出すことができたのではないか」と同関係者は話している。











