居場所のない若者が集まる新宿・歌舞伎町の「トー横」が社会問題化する中、全国にも同様の場所は多数存在する。昨年、1分間格闘技「Breaking Down」で、一躍注目された“顔面ニキ”こと我愛羅(があら=26)が、年初の大阪・道頓堀のグリコ看板下、通称“グリ下”を訪れ、少年少女の悲痛な叫びを聞いた。

 どこからともなく少年少女が集まる場所はトー横(新宿東宝ビル横)だけではない。横浜のビブ横(横浜ビブレ横)、名古屋市中区栄広場のドン横(ドン・キホーテ栄本店横)、大阪ではミナミのグリ下に悩みを抱える若者があふれ返っている。

 グリ下に足を運んだのは、朝倉未来がプロデュースするブレイキングダウンのオーディションで、ブレークした顔面ニキだ。額に「愛」、ほっぺには「朝倉未来」「朝倉海」などのタトゥーを彫り、近寄りがたい風貌とは裏腹に愛嬌ある性格で、試合に出場していないにもかかわらず、インフルエンサーとのコラボを実現。ヒカルやDJ社長がプロデュースする格闘技大会に出場し、ブレイキングドリームをつかんだ男だ。

 顔面ニキは「昨年の夏にいた子たちは1人もいない。出入りが激しい」と驚きの声を上げた。実はグリ下を訪れたのは初めてではない。
 詐欺や脅迫などで逮捕歴6回。仕事に失敗し、全財産1400万円を溶かし、路頭に迷い、人生を変えるために昨年8月に富山から来阪し、2週間連続で道頓堀川に飛び込む企画で、グリ下の若者たちと交流を持った過去がある。

 この日、たむろしていた若者は十数人ほど。「ただ単に家にいたくない」(17歳少女2人組)、「中学でいじめられ、友達がいないから、つくりにきた」(13歳少女)、「スマホで親に位置情報を監視されていて、家に帰りたくない」「電話とLINEしかできないスマホを渡されている」(17歳少女3人組)

 14歳の少年はたばこを吸っているところを私服警官にとがめられたが、顔面ニキを見て、「写真を撮らせてください」と笑顔を見せた。一様に「友達をつくりたい」がグリ下に集まる理由だった。

 顔面ニキは「自分もイジメられていたので、やられた側の心の傷は一生残る。いじめる側を説教してやりたい。スマホに制限をかけて、子供を束縛する親も今は逆効果。SNSの時代で、友達が何をしているかなどをSNSで通じて、つながっている。それができないからグリ下に来てまで、友達をつくりたいとなる」と話す。

 顔面ニキは朝倉未来から「1年間、人のためにやり通せば認める」との言葉を受け、「とにかく誰かの力になれる人間になりたい」とボランティアで、ゴミ拾いや社会活動に全国を奔走。グリ下を訪れたのも若者の悩みを受け止めたいとの思いからだった。

「月1回でも行って、話を聞いて、親との仲直りをさせたい。ここにたまるのはやめたほうがいい。親がもっと子供のことを考えてあげるべき」と今後もグリ下に通い続けるという。