冬場に限らず自宅や飲酒など、身近な要因で起こるという低体温症。体温が32度以下になると4割の人が亡くなるというから注意が必要だ。低体温症になる原因や防ぐ方法を救急科の境野高資医師に教えてもらおう。

 ――どのようなときになるのでしょうか

 境野医師(以下境野)低体温症になる場合は環境要因が多く、周りの環境が寒いときに発症しやすくなります。よく、雪山などの寒い場所をイメージされる方が多いのですが、決してそういった状況に限ったわけではありません。夏場でも海水浴やプールなどでも発症する可能性はありますし、寒い時期にエアコンをつけていない状態の自宅の中で発症する方も実は多いんです。また、冬場に忘年会などで飲み会に出かけて酔った状態で外で寝てしまうのも、低体温症になる可能性があるので注意が必要です。

 ――お酒を飲むと体温が下がりやすくなるということですか

 境野 そうですね。お酒を飲むと、皮膚の表面の血管が開くので血流が良くなるんです。飲酒をすると顔が赤くなるのも、頬の皮膚の表面の血管が開くからなのですが、血流が良くなると体中心部の熱がいろいろな場所に運ばれていき、冷たい環境では熱が外に逃げていってしまうので、体全体としては熱を失うことになります。お酒が冷たいから体が冷えるというわけではありません。熱燗を飲んでも体は冷えやすくなります。飲む程度にもよりますが、飲みすぎるほど体温も失われやすくなるんですよ。

 ――体温がどのくらい下がると低体温症になるのでしょうか

 境野 低体温症の症状は重症、中等症、軽症の3段階に分かれます。体温が32度まで下がった場合は軽症といわれており、32度以下になると中等症といわれています。21度を切ると重症となります。また、体温が32度以下になると4割の人が亡くなるともいわれているんです。

 ――自分の体温が32度より低くなるとどのような感覚になるのでしょうか

 境野 一般的に、寒さを感じてガタガタ震えるような状態になるピークは35度といわれています。35度よりも低くなると徐々に寒さを感じにくくなっていき、体の震えも収まっていってしまいます。ボーッとしてくるような感じでだんだん意識もなくなっていきます。
 ――低体温症で亡くなる人の割合が高いケースを教えてください

 境野 自宅で不適切な室温の状態が原因で低体温症で亡くなる人が多いと思います。特に体内で体温調節をするのが難しい高齢者と小さな子供ですね。高齢になると皮膚全体に占める水分の割合が少なくなっていき手足が乾燥したりかゆくなる人が多いのですが、エアコンで暖房をつけるとさらに空気が乾燥するためエアコンを使わないようになる高齢者も多いんです。また、寒い暑いといった感覚も鈍くなるため寒い部屋にいてもエアコンをつけないで過ごす高齢者もいます。自宅にいるときは室温が24度以上になるようにして寒くなりすぎないように注意してください。

 ――家族や友人が低体温症になった場合に周囲の人ができることはありますか

 境野 まずは衣服が濡れている場合は体温を奪うことになるので濡れた衣類をとって毛布などをかけて温かくすること。本人に意識があれば温かい飲み物を飲ませて体内を温めてください。救急車が来るまでの間にこういった処置をして待つのが良いでしょう。