痛風に悩まされている中高年は多い。尿酸値が高めの痛風予備軍などは食生活を改めるように医師からイエローカードを出されるのだが、習慣はなかなか変えられない。だが早めに意識を改めないと、足の痛みどころか深刻な病気になるかもしれない、と専門家は警告する。

【痛風から循環器の障害へ】

 痛風は、ある日突然足の親指の付け根が痛み出すことから始まることが多い。足首やヒザ、肘、手指などの関節に痛みを覚える人もいる。

 次第に痛みは激しくなって、赤く腫れ上がる。この腫れと痛みが痛風の特徴だ。人によっては、触れると痛いだけでなく風が吹いても痛い。だから痛風なのである。

「痛風の原因は尿酸の代謝異常です。尿酸が体内から少ししか出ていかない排泄の低下や、尿酸が過剰に産生されて体内に増えた状態を高尿酸血症と言いますが、これは動物性タンパク質の取り過ぎや運動不足などの生活習慣によって引き起こされます。この状態が続くと血液中にダブついた尿酸が体内の組織に結晶となって沈着します。特に関節は尿酸沈着が起きやすく、この結晶が原因で激しい痛みを感じるのが痛風発作なのです」

 こう説明するのは、東洋医学と栄養学に詳しい医学博士の大内晃一・東京医療学院大学講師だ。尿酸が血清中にどれくらいあるのかを示す血清尿酸値が高いほど痛風のリスクは上昇する。

「問題は、高尿酸血症の人は高血圧や糖尿病など生活習慣病と合併して心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患を起こしやすいことです」

 痛風は慢性腎臓病の原因にもなるという。難しい病気になる前に治療が必要だが、痛風の治療は痛みが出ているときは痛みを抑える対症療法しかできない。痛みが治まったら尿酸値を下げる薬などを使って治療しなくてはならないのだ。

【薬を飲むだけで治るわけではない】

 ただし、尿酸のコントロールは薬を飲むだけで簡単にできるわけでなく、長期戦を覚悟しなくてはならない。生活習慣が原因の病気だからである。

 特に痛風は食生活と密接な関係がある。簡単に言えば美食がよくない。その証拠に、痛風患者の多かったフランス、ドイツなどで第二次大戦中は痛風患者が激減し、戦後の復興に伴ってまた増加した歴史がある。もともとヨーロッパの貴族に多い病気なので帝王病と言われていたくらいだ。

 かつて菜食が主だったころの日本では痛風は少なかった。最近多くなったのはグルメな日本人が増えたのだろう。

 では、どんな食事が特にまずいのだろうか。中高年の読者は「痛風にはビールがよくない」と、かつて言われていたのを覚えている人がいるかもしれないが、最近ではそんなことは言われなくなった。

 医師も動物性タンパク質の過剰摂取や運動不足を避けるよう指導するようになっている。

 だが肉好きな人が肉を節制するのも難しく、「ちょっとなら大丈夫」「自分は大丈夫」などと考えて食生活を改めないので治療がなかなか進まないのだ。そうならないように次回は、どんな食事がいいのかを中心に痛風の予防法を教えてもらうことにする。