一体、なぜ――。大相撲の幕内逸ノ城(29=湊)の〝暴力疑惑〟が、波紋を広げている。部屋のおかみさんとの間にトラブルが起きたとみられる一方、13日に初日を迎える九州場所(福岡国際センター)は出場の方向。関係者は一部で過度な飲酒が原因と報じられたことに困惑している。

 逸ノ城が部屋のおかみさんに暴力を振るった疑いが浮上した。すでに日本相撲協会の花籠コンプライアンス部長(元関脇太寿山)から事情聴取を受けているが、九州場所は出場する意向を固めている。11日は2日目までの取組が発表され、初日に小結玉鷲(片男波)、2日目に関脇御嶽海(出羽海)との対戦が決定。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「特に被害届が出たということでもなければ(本人が)場所を休場する状況でもない」と現状を語った。

 普段は温厚なイメージの逸ノ城が、なぜこんなことになったのか。一部報道によると、過度な飲酒が原因で過去に客とトラブルを起こしそうになったこともあるという。

 ただ、湊部屋をよく知る関係者は「ここ数年はひどい飲み方はしていない」と証言する。「後援会が一人で飲みに行かせていないようだし、行く時は後援会幹部だったり必ず誰か付き添ってる。有名人だし、おかしなことにならないように、そのへんは気をつけている。だから、限界かなと思ったら『イチ、そろそろ帰ろうか』という感じ」

 たしかに2014年秋場所の新入幕で13勝を挙げた当時は「ちょっと酒の度が過ぎることもあった」と逸ノ城に〝若気の至り〟を感じることもあったという。それでも「もう29歳になるから。今はない。彼は(以前に)コロナに感染してるし、たとえ翌日稽古がなくても体に気をつけて帰らせてる。一緒に飲んでいて人さまに迷惑をかけるような飲み方はしないし、警察沙汰になるような話はまったく(ない)」と〝心当たり〟がないだけに困惑した様子だった。

 腰痛に悩まされ、一時は十両に転落しながらも7月の名古屋場所で初優勝。再ブレークを果たした〝モンゴルの怪物〟は師匠の湊親方(元幕内湊富士)、おかみさんら周囲への感謝を口にしていたが…。不穏な空気が漂う中、15日間土俵に上がることはできるのか。