CS放送・衛星劇場は「8―9月 特別企画 没後30年 松本清張特集~松竹映画18作品~」と題し、2か月間で松本清張氏の原作映画を公開。代表作でもある映画「砂の器」に出演した俳優の森田健作が当時の思い出を語った。

 東京の蒲田駅操車場で起きた殺人事件を発端に、刑事の捜査と犯罪者の動静を描く長編小説が原作。ハンセン氏病を物語の背景としたことでも知られ、大きな話題を呼んだ。1974年に公開され、俳優の丹波哲郎さんが刑事役で主演し、森田はそのバディ役の若い刑事・吉村弘役で出演した。

 丹波さんとはそれまで共演がなかった森田。「丹波さんの評判を聞いたら、酒は飲めない、セリフは覚えないっていうの。森田大丈夫か?って聞かれたけど、私も同じですからと言ったのを覚えている」と笑う。

 丹波さんとの一番の思い出が居酒屋のシーンだ。メガホンを取った野村芳太郎監督の希望で、本番前のテストから本物のビールを飲んだという。酒の飲めない2人だけに、いざ本番という時は顔が真っ赤。森田が「その時の丹波さんのセリフは忘れない」というのが、「被害者の三木謙一は20年間…」というところ。本番で丹波さんは「被害者の三木のり平は20年間…」と言ったというのだ。

「三木のり平」とは昭和を代表する喜劇役者。森田は「丹波さんも間違ったのをわかってないけど、こっちも酔ってるから『三木のり平』って言われてもよくわかってない。なぜか野村監督からもカットの声がかからない。それほど迫真の演技だったんだろうね。ちょっとしたら、カットの声がかかったけど」と思い出を語った。

 この「砂の器」にはほかにも加藤剛さん、緒形拳さん、渥美清さんなど名だたる俳優が出演している。「出させていただいて誇りの持てる作品ですね」とも語った。

 今回の特別企画では「顔(1957年)」が8月1日に放送されるのを皮切りに2か月で18作品をオンエア。森田出演の「砂の器 デジタルリマスター版」は9月3日に放送される。森田は「日本の映画のすばらしさを見てもらいたい。それに情愛です。どこにいっても親子という絆は変わらないんですよ。こういう時代だからこそ『砂の器』の当時の時代と、今と照らし合わせてみてもらいたい」と話した。