小田原競輪GⅢ「開設73周年記念 北条早雲杯争奪戦」は28日、最終日を行った。決勝は深谷知広(32=静岡)がまさかのアクシデントに緊急対応。ぶっちぎりの一人旅で2017年9月青森以来、17回目のGⅢ優勝を飾り、優勝賞金450万円(副賞含む)を手にした。

 決勝は深谷―田中晴基(36=千葉)と地元勢4人で南関別線だった。深谷は「周回の中団は想定外。郡司(浩平)が後ろにこだわったので、切って自分らを出させるのかと思った」と想定を明かす。

 が、郡司の狙いは違い「ギリギリまで待って深谷さんをふたして、落ち着いたところから仕掛ける」というものだった。深谷に力を出させずに、主導権を取ろうとした。

 ここでアクシデントが起こる。ふたをしたところで田中が深谷の後輪に接触し、落車。全員のもくろみが狂い、慌てて状況把握に務める中、深谷は「まず自転車が大丈夫か確認した。前でけん制し合っていたので、ここだ」と打鐘前から踏み込むと、大きなリードを武器にそのまま押し切った。

「落車があったので複雑ですが、久しぶりの記念優勝はうれしい」

 実に5年ぶりのGⅢ制覇に場内は沸き上がった。笑顔を取り戻した唯一無二の存在の男が、輝きを取り戻した。しかし、余韻はない。

「明日までが最終日なんで」

 伊豆ベロドロームで開催中の「2022全日本選手権トラック」の最終日になる29日の1キロメートルタイムトライアルに出場する。

「趣味でもあって(笑い)。日程が合えば、他の種目にも出てみたかったですね。今の選手たちに何かを伝えられれば。スプリントはみんな本当に力はあって、後は走りの部分なんで」

 日本代表としての戦いは役割を終えたが、日本の自転車競技の成長は誰よりも強い思いで願っている。

 まだまだ輪界の主役としての活躍を求められる男が、もう一度、突き進む。グランプリの出場も「考えられない位置ではない」。10月のGⅠ寬仁親王牌は出場権がないため「元々のスケジュールが今年の競輪祭に向けて、でした。そこでいい成績を収められるように」と11月小倉の舞台に照準を絞っていく。