日本人初の4階級制覇王者でWBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(33=志成)が単独インタビューに応じ、自身のボクシングスタイルについて激白した。同級1位のドニー・ニエテス(40=フィリピン)との防衛戦(13日、東京・大田区総合体育館)を直前に控え、最終調整中の井岡を直撃。これまで一部のファンから「KOを狙わずつまらない」と批判されてきたことに対して、偽りなき本音を語った。
――最近よく「成長した」と話しているが、具体的にどの部分か
井岡 その質問ってすごく難しいですね。まず「成長」の意味合いって人それぞれ違うし、正解がない。自分の中で何かを見いだし、答えにたどり着いたとしても、世の中が感じる「成長」とはたぶん違うじゃないですか。だから僕が世に発信し、理解してもらう成長って、やっぱり結果しかないと思うんです。
――つまり内容よりも勝ちに執着するのか
井岡 それが根本ですね。スポーツだけじゃなく、ビジネスマンにも通ずるものはあると思います。結果を出してないのに、言葉を並べても何の説得力もない。僕に求められているのは記者会見でのスピーチでもなければ、リング上のインタビューでもない。試合に勝つことだけ。そうやって結果を出し続けることにフォーカスしてやってきました。勝って初めて皆さんに「成長」を感じてもらえると思います。
――勝ち方に対する美学はあるか
井岡 もちろん、あります。自分の美学が通用するほど甘くはないとは思いますが、どの試合でも戦う中で「美しさ」を見せたいって気持ちはありますよ。
――その美しさを言葉で表現すると
井岡 見た目でいったら、雑なものより丁寧なほうが美しいですよね。強さの象徴でもあるライオンやトラにも美しさってあると思いますが、僕の中では例えば絵画とか車のフォルムとかに共通する美しさ。みんなが嫌がること、やりたくない基礎を丁寧にやる。どんな技術を身につけても、そこの部分が欠けてはいけないと思います。
――一方で「KOを狙わないので、試合がつまらない」という声もある
井岡 僕も人間なんで、何となくそういう空気は察していますよ。あまりエゴサーチはしませんが、SNSとかでコメントを見たり、応援してくれている方とのさりげない会話の中で感じますね。試合をしている僕自身もKOが見たいだろうなとか感じていますから。
――そういう意見を聞いてどう思うか
井岡 余計、真逆に走りたくなりますね。そもそもボクシングに限らず、人にはできること、できないことがある。記者の方にも自分のスタイルってありますよね。今、世の中に評価されている記事が自分の方向性と違った場合、そっちに寄せて書きます? それって違うじゃないですか。そこにはプライドもあるわけだし。世の中の評価をいちいち気にしていたら何もできなくなる。まあ、世界チャンピオンになったばかりのころなら気にしたかもしれませんが、ここまできて評価とかどうでもいい(笑い)。
――ブレない姿勢はすごい
井岡 良くも悪くも自分がこうって思ったことしかできないタイプなので。でも〝自分よがり〟にはなりたくない。今、僕のことを「すごい」って言ってくださいましたが、それは少なからず僕が結果を残してきたからだと思うんです。結果を全く出さずにこんなこと言ったら「おまえ、何言っとんねん!」ってなる(笑い)。だから僕はとにかく勝ちにこだわりたいんです。
☆いおか・かずと 1989年3月24日生まれ。大阪・堺市出身。叔父は元2階級制覇王者の井岡弘樹氏。東農大で北京五輪を目指したが、出場がかなわずプロに転向。2011年2月にデビュー7戦目でWBC世界ミニマム級王者になり、世界戴冠の当時国内史上最速記録に。12年6月にWBA王者・八重樫東との統一戦を激闘の末に制し、2団体統一王者に。同年大みそかに2階級制覇、14年5月に3階級制覇を達成。17年大みそかに引退を発表したが、18年9月に米国で復帰。19年6月に日本人初の4階級制覇を達成。165センチ。











