【直撃!エモPeople】〝ならず者〟から教養人へ――。「熱血ひとり芝居」などのコントで知られる、あばれる君(35)がテレビ番組「アイ・アム・冒険少年」(TBS系)での小学生人気を背景に、初の責任編集本「ぜったいに生き残れ! あばれる君のすぐに使えるサバイバル大全」を発売した。デビュー13年目を迎えたあばれる君が未来へ決意を語った。
「冒険少年」内で無人島から脱出する企画“脱出島”では歴代最多優勝を誇り、小学生からの人気は絶大。いまや“脱出島の絶対王者”と呼ばれる。サバイバルの知識はプロ並み。昨年は都内から車で3時間の山を購入し、私生活でもアウトドア好きで知られる。
初の著書「――サバイバル大全」は小学生向けの教科書のような作りで、写真や図解で火おこしや水のろ過の仕方など、自ら実演し、コラム「超サバイバル『九死に一生』体験談」も収録した。
7年前、番組で脱出島への出演が決まってサバイバル人生がスタート。「芸人としてもう一つ武器が欲しいなと思っていて、自分も好きでみなさんに響くもの、それがサバイバルだったので極めようと思いました。自分はまだまだですが、経験した知識は全部詰め込んだので、夏休みに家族でキャンプするときなどに参考にしてもらいたい」
数ある無人島ロケの中で一番怖かったのは意外にも日光。「日陰がないので全身やけど状態。寝ていると脚がつって体のコントロールが利かなくなる。熱中症の典型的な症状。頭に濡れたタオルを巻く、自分で日陰を作る大切さがわかりました」
ピン芸人としてはハイテンションのコントネタ「熱血ひとり芝居」の実直な世界観で知られるが、無人島をはじめ、体を張るタレントとして、不器用ながらも真剣に取り組む姿勢が子供たちの心をとらえている。
「子供たちからの手紙は励みになります。どんなに疲れていてもフルテンション、マックスの状態の僕を見てほしいとなる。自分もテレビの大人を見て育って、そこで恥ずかしくない知識を出したいし、手を抜かないようにしたい。子供たちには失敗を怖がらず、何でも挑戦してほしい。落とし穴に落ちた人を笑うより、どうやって助けるかを考える世界にしてほしい」
原点は生まれ育った福島・矢祭町時代。自然豊かな町で育ち、中1で「芸人になりたい」と夢を抱いた。中学校校長だった父は「頑張ったところを見せたら、芸人になっていい」とだけ言い、それを受け、高卒後に上京して芸人を目指そうとした計画を変更。駒澤大学に進学、教員免許(中・高校、社会)も取得した。
「電車の乗り方も知らなかったので、高卒でお笑いの世界に入っていたら東京に押しつぶされていたと思う。母には『大学に行っていろんなことを学んだ方がいいよ』と言われましたが、芸人になるまでの猶予期間として大きかった。学費や仕送りは4年間で1200万円ですから、感謝してます。父の仕事ぶりや、朝早くから家事、弁当を作ってくれた母の姿を見て、当たり前のルーティンを日々こなす大切さが自分の土台になってますね」
大卒後「ワタナベエンターテインメント」に所属した時は「最初は“ならず者”が入ってきたという扱いでした」と振り返る。芸人としてのサバイバル術を聞くと「気持ちで負けないこと。何度も自分だけウケなくてシーンとなって、鋼のメンタルになったところもありますが、傷つきやすい部分も持って、反省して試行錯誤して変えていけると思ってます」と頭脳派な部分ものぞかせた。
東日本大震災を機に、芸人として本腰を入れて職業にするという意識が芽生え、2013年、芸人として月収9万円になった時点でバイトを辞めた。同棲していたのちの妻は看護師の仕事をしながら支えてくれた。
6歳になった長男から教えられることも。「僕が番組で負けたら悲しむし、勝ったら喜んでくれる。純粋、シンプルでいいんだと気付かせてくれる。ハッとしたのは『パパ、今日はロケ』『今日は芸人の仕事』と区別もできているようで、手を抜けない(笑い)」
未来へ向け、進化も目指す。「30歳を過ぎたら教養だなと気付いた。これまで『ヤバいと思います』しか言えなかったのを、子供たちに何か聞かれたら自分の言葉で語れるようになりたい。それは必ず本業のコントにも役立つと思ってます」
父から受け継いだ教育者のDNAを本に昇華させ、次は“あばれる先生”と呼ばれる日が近いかもしれない。
☆あばれるくん 1986年9月25日生まれ。福島県矢祭町出身。県立白河高時代は山岳部でインターハイ出場。駒澤大学で教員免許を取得し、卒業。2009年、ピン芸人としてデビュー。芸名はバイト時代にテンパって皿を割りまくったことで付けられたあだ名が由来。11年、映画「聯合艦隊司令長官」出演。13年、高校時代から交際していた1歳年上の看護師と結婚。15年「R―1ぐらんぷり」決勝進出。14年にスタートしたTBS系「アイ・アム・冒険少年」内の無人島から脱出する「脱出島」で歴代最多優勝。コロナ禍に開設したユーチューブチャンネル、ゲーム実況も好評。












