最強伝説の終着駅は――。立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で〝キック界の神童〟こと那須川天心(23)が、K―1のエース・武尊(30)との頂上決戦を判定5―0で完勝。42戦42勝(28KO)という驚異的な数字を残し、キックボクシングを卒業した。今後は予定通りプロボクシングへの道に進むが、将来的にはキック界と再びかかわる可能性は十分。那須川が明かした〝ある野望〟を大公開する。
無傷で走ってきた、キックボクサー人生の集大成ともいえる頂上決戦。那須川が見事な形で〝有終の美〟を飾った。
序盤から手数で上回り、武尊を圧倒。1ラウンド(R)終盤には相手の右のパンチに強烈な左フックを合わせてダウンを奪い〝ライトニングレフト〟と称される一撃必殺の威力をまざまざと見せつけた。
2Rにはバッティングを右目に受けて中断する場面もあったが、冷静さを失わない。鮮やかな胴回し回転蹴りなども見せながら3Rを戦い終え、判定5―0で完勝を収めた。
これでMMA(総合格闘技)戦、ミックスルールを含めプロ47連勝。判定結果を待つ最中に感極まり、大粒の涙をこぼし始めた那須川は「俺、勝ったんだよ!」と絶叫した。さらに「武尊選手がいたからこそ俺はここまで強くなれた。皆さんが信じてくれたおかげでここに立てたと思います」としつつ、格闘技界のさらなる発展と「THE MATCH」のようなオールスターイベントの継続開催を訴えた。
今後は「いったん休んでから考えようと思います」と充電期間を経て、予定通りプロボクシングに進む。驚くべきは〝将来設計〟だ。早くもボクシング転向後の先、つまり格闘技引退後の青写真も描いている。
過去の取材で那須川は「(団体経営を)いつかやりたいんですよね。すぐにじゃないですけど」と「立ち技の新団体」設立構想を明かしたことがある。きっかけは、自らが去った後のキック界への危機感だ。頂上決戦後の立ち技界を「僕は下がると思います。しばらく。だからこそ、今回やることを迷いましたし」と危惧している。
不足しているのが、戦前のプロモーションやセルフプロデュースを積極的にする自身のような選手だ。そのため「団体でも(そのような選手を)つくっていかないといけないのかなって。(MMAでは)RIZINがずっとやっていると思います」と語る。
ここから神童の言葉はますます熱を帯びた。「(ファンは)みんな刺激を求めますから。新しいことにチャレンジするというか、団体もチャレンジしていけば盛り上がりますよね。見たいと思わせることが大事だと思います」と力説する。
その一案として「提案を1個するのであれば、団体同士で選手をトレードしたらいいと思うんですよ。1年間とかで区切って。サッカーとか野球にはそういうのがあるじゃないですか。そういうふうになったら面白いかなと思います」と〝レンタルトレード制度〟を導入すべきとした。
那須川は、武尊戦にも応援に駆けつけてくれたスケートボード男子ストリートで東京五輪金メダリストの堀米雄斗(ミクシィ)や、人気俳優の菅田将暉らと親交があり、他業種から吸収した知識とアイデアがある。
「そこでいろんなシステムを(やっていきたい)。『格闘技が一番』って思うことも大事ですけど、他の畑を見るとそれも勉強になると思います。だから俺は、いろんな業界を見るんです。いろんなエンタメを見ると『これ格闘技に使えるんじゃないかな』とかあるんですよ」
新団体の名前を問うと「なんだろう、『K―1 RISE』とか。(K―1が先なのは)先輩なんで。『仮』ですけど」と笑顔で語った。いよいよ新天地に進む神童が、いずれは意外な形でキック界に〝復帰〟するかもしれない。












