13日の東京外国為替市場で円相場が一時1ドル=135円台前半に値下がりし、金融危機に陥っていた1998年10月以来、約24年ぶりの安値を付けた。ウクライナ情勢に加え、急激に進む円安が輸入品の値上がりを招いて家計を直撃。物価高に対する岸田文雄首相の対応については、世論調査で「評価しない」が64・1%に達するなど不満の声が高まっているが、キャスターの辛坊治郎氏(66)も日本経済の現状に警鐘を鳴らした。

 岸田首相は13日の参院決算委員会で、物価高について「国民生活や企業活動に大きな影響を与えている。将来に不安をもたらしているのは現実だ」と語った。ガソリン価格抑制の補助金などに関し、「こうした政策は維持し、深掘りすることで国民生活を守る」と価格抑制策を推進する考えも強調したが、11~13日に行われた共同通信の世論調査では、岸田首相の物価高への対応を「評価する」が28・1%、「評価しない」は64・1%に上った。

 辛坊氏はこう指摘する。「岸田政権に過去数十年続いたバラマキ政策のツケが全部回ってきている。補助金で日本だけガソリン価格がそんなに上がってないが、他の国はどんどん上がっていて、『節約しないといけない』『代わりのエネルギーが要る』『イノベーションが必要だ』と次に何をすればいいか必死に考えてる。日本は補助金で何も考えない。これが何年も積もり積もった時に、世界ではエネルギー革命が起き、日本だけ何も変わらない。でも、補助金の金はどこかで回収になる」

 辛坊氏は今、円が急速に価値を落としているという。

「日銀がお札を刷るのは政府に通貨発行権があるから大丈夫という議論は完全なマヤカシ。間違いなく通貨の価値は下がります。どうやってお金を配るかというと、本来は増税して国民から巻き上げるか、通貨の価値をなくすことによって高齢者を中心とする貯金から巻き上げるかのどちらかしかない。でも今は政治的に税金は上げられないから、通貨の価値をどんどん落とすことですべての均衡を保ってる。だから、高齢者の預貯金がすごい勢いで音を立てて、紙くずになりつつある」

 日常生活レベルでも物価高は進行しているが、都市部のタワーマンションや車、金、ブランド品の物価上昇は統計の数字以上に進行している。

「2000年のシドニー五輪でQちゃん(高橋尚子さん)が金メダルを取った時、国民栄誉賞の商品としてパテックフィリップのアクアノートという98万円の腕時計をもらった。今は980万円するんです。それは時計の値段が上がったというより、日本円の価値が落ちている」

 日本経済の衰退はこんなところからも明らかだという。

「あまり報道されてないけど、今の日本の1人当たりの賃金とかGDP(国内総生産)って韓国の9割しかない。今、日本人の平均賃金を一斉に10%上げても、韓国に到達できない。韓国というと、“一部の財閥企業だけが給料高い”と呪文のように言われるけど、韓国のサムスン電子って従業員が10万人いて、平均賃金が今のレートで1500万円くらい。そういう時代なんだけど、日本は賃上げ何%も達成できない。毎年1割上げても、アジアでナンバーワンには返り咲けない。今の水準があと5年続けば貧しいよね。でも、認識があんまりない」

 こうした現実は、海外に旅行した際やインバウンド向けの商売が優先され、急激に物価が上昇した際に突き付けられる。

「高齢者の方が1000~2000万円、退職金をもらって頑張ってためています。でも世界的に見た時に、それは100~200万円の価値になっている。今後も進む可能性が残念ながら高い」

 最後に辛坊氏は日本の問題点について「全世界がイノベーションで新しい技術やサービスを開発して経済成長しているのに、日本はバラマキによって目先の痛みを緩和し、政治的な得点を挙げるというやり方が何十年も続いた。本気で社会を改革して成長しようということができなくなってる。役所がつくった既得権の網の中に日本国民がずっぽりハマっている」と警鐘を鳴らした。