松戸競輪ナイターGⅢ「燦燦ムーンナイトカップ」は12日に最終日を開催。山口拳矢(26=岐阜)は8R特選を制し、白星で締めた。
今シリーズは脇本雄太(33=福井)を脅かす存在として期待がかかったが、初の3・3バンク、9車立てに手を焼き準決勝で敗退した。「顔見せの時、お客さんから『お前の走るレースはもっと後ろだろ』って言われた。あぁ、そうだなぁって。でも(3・3バンクは)難しかった。事前にいろいろシミュレーションしてきたけど、実際に走るのとは違ったです。次回への勉強になりました」
2日目、二次予選ではロング駆けに出たが、直前の玉野でも3日間、仕掛けが早かった。なかなか先行のイメージがないだけに、新鮮に見えたファンも多かったはずだ。「別に先行を捨てていたわけじゃないんです(笑い)。タイミングが来れば、とは常に思っていて。でも、グレード戦線ってタイミングを待っていたら、まず来ないじゃないですか。ならば自分から動いておきたいと思うようになったんです」と、この先を視野に入れ、長い距離に挑戦している。
意識改革のきっかけには競輪界に名を残す、あの大人物も影響している。「最近、村上(義弘・47=京都)さんと話す機会が増えて。共同(通信社杯)を取るまでは順調だったけど、この先厳しくなってくる。どうしたらいいかと悩んでいたんですよね。そうしたら『勝ち方、負け方を大事に考えて走れ。負けても得られるものがあるんだ』と。目先の勝ちにこだわらずに走ることが大事だと教わりました」
KEIRINグランプリ2Vと輝かしい成績を残した山口幸二氏を父に持ち、2020年に華々しくデビュー。昨年9月には岐阜GⅡ「共同通信社杯」でデビューから史上最速でビッグVと出世街道を歩んでいるように見えるが、実際は激しいレーススタイルの代償で度重なる落車やケガに泣かされ、思うように成績が安定しないのが現状だ。
そんな悩めるプリンス、ケンヤボーイの心の奥に、村上の金言がグサリと刺さった。「周りからは気持ちが強いと言われるけど、どっちかと言うと弱くて構えるタイプなんです。自信があるから構えるんじゃなくて逆なんですよ、自分は」
切れ長な流し目とニヒルな笑顔を見ると余裕の塊のように感じるが、実はとても繊細なよう。自力選手たちに熱すぎるほどのゲキを飛ばし、図太く大胆にバンクを駆け回っていた現役時代の父上とは明らかに違う。
レースセンスはもともと抜群にいい。「先行」という武器を手にできれば、何でもできる自在選手として、もうひと回り大きくなるだろう。












