格闘技界の女王たちはどう見ているのか――。「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で〝キック界の神童〟那須川天心(23)とK―1のエース・武尊(30)が激突する。レスリング世界大会16連覇の〝霊長類最強の女〟吉田沙保里(39)と、〝シュートボクシングの絶対女王〟RENA(30)の特別対談後編は、世紀の一戦がテーマ。試合のカギを握る技術から突然の地上波放送中止発表まで、話題沸騰の頂上決戦について大いに語った。

 吉田 この試合、激アツだよね。勝ち負け以前に、見られることがすごい。2人とも強いじゃん。私と同じくらいの階級だし、こんなに注目して見る試合は久しぶり。プロから見て、どっちが勝つと思う?

 RENA 難しいですね~。武尊選手の圧力を天心選手がどうかいくぐるか。逃げるか逃げられないのか。減量もあるし、体の重さ、戻しの制限もあって、スタミナ面も左右する。本当にわからない。

 吉田 難しいね。

 RENA 本当に一発倒すパンチがあるのは武尊選手の方だと思う。体重も重いし。KO決着なら武尊選手、判定なら天心選手がいっちゃうんじゃないかなと予想します。武尊選手はガンガンいくスタイルなので、しっかり倒す。天心選手はうまいんです。技術があってスピードもある。あと誰も想像できない動きをする。「そこから?」みたいなのが魅力。

 吉田 圧って侮れない。圧が強い選手と戦うの大変だよね。私はリオ(2016年リオデジャネイロ五輪)決勝がそうだった。マルーリス選手(米国)の下からくる圧がすごくて。そういう時、焦って変なことやっちゃうんだよね。私は普段やらない首投げやっちゃって、下になって、不必要なポイントを取られた。

 ――那須川vs武尊でも出てくるかも

 吉田 見ている側からすると、お互いに予想がつかない動きが出てくるのが面白いのだけど。

 RENA 私も普段やらないバックブローしちゃったりしたことあったな。

 吉田 本当に楽しみになってきた。でもそんな中で、(フジテレビの)地上波中継がなくなって、2人が苦しい気持ちをSNSに吐露していたね。私は2人に共感するところがあって。テレビを見て育ってきたんだけど、レスリングって昔はなかなか見てもらえなかった。テレビでPRIDEやK―1を見て、「レスリングも負けてられない」とモチベーションになっていたからね。最初からやらないならいいけど、途中でなくなるのは、2人はつらい。事情はわからないけど、どうにかして2人がいい方向に行ってほしいな。

 RENA テレビは何げなく見られるのがいいですよね。(格闘技をやらない)普通の子も見ることができるから。

 ――2人の対決にどんどん注目度が上がっている。精神状態をどう見るか

 吉田 2人とも、絶対注目を浴びたほうが力が出るタイプ。「見てくれ、俺を見てくれ!」って感じ。私と同じにおいがするので(笑い)、注目度が上がれば上がるほどすごくうれしいと思う。

 ――2人に期待することは

 RENA 未来につながる戦いをしてほしい。天心選手はボクシングに行っちゃうし、武尊選手がどう動くかは分からないけど、キックボクシングという立ち技を盛り上げてきた2人。今後に続いていく選手のやる気が出るような試合をしてもらったら。子供たちがこっちの世界に来てくれるような。ここからキックボクシングが落ちるか上がるかは、この一戦次第じゃないですかね。

 吉田 作戦を立てていると思うけど、とにかく思い切りやってくれればいい試合になると思う。すごく楽しみにしています。頑張って~!

☆よしだ・さおり 1982年10月5日生まれ。三重県出身。三重・久居高―中京女子大(現至学館大)出。3歳で競技を始め2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンで五輪3連覇。16年リオ五輪は銀メダルを獲得。世界選手権では02年大会で初優勝し、15年まで13連覇。12年に五輪、世界選手権を合わせ、史上初の13大会連続「世界一」でギネス世界記録に認定され、国民栄誉賞を授与された。19年1月に引退。愛称は「霊長類最強の女」。157センチ。

☆レーナ 本名・久保田玲奈。1991年6月29日生まれ。大阪市出身。シュートボクシング(SB)世界女子フライ級王者でSBのプレーイングマネジャーを務める。小学6年生からSBを始めて2007年にプロデビュー。デビュー戦は黒星ながらその後勝利を重ね「Girls S―cup」世界トーナメントを4回制覇(09、10、12、14年)。SBの戦績は41戦35勝(11KO)5敗1分け。15年大みそかのRIZINでデビューを果たしたMMAの戦績は17戦12勝5敗。160センチ、55キロ。