大相撲7月場所(東京・両国国技館)で新大関の朝乃山(26=高砂)が期待通りの活躍を見せている。序盤戦の5日間を終えて無傷の5連勝。2006年夏場所の白鵬以来年ぶりの新大関Vへ向けて順調に白星を重ねる中で、今回の大関デビューに合わせて朝乃山の「金メダル」が販売されることも決定した。このメダルには和製横綱として絶大な人気を誇った〝稀勢の里級〟の期待が込められているという。

朝乃山は5日目(23日)まで無傷の5連勝。新大関として注目を集める立場で堂々、優勝争いのトップを快走している。今場所は新型コロナウイルス禍で厳戒態勢が敷かれる中での有観客開催。新大関は「お客さんが、わざわざ国技館に足を運んで応援してくれている。その期待に応えたい」と看板力士としての自覚を口にした。

 その朝乃山は、早くも〝横綱級〟の期待も背負う。今回の大関デビューに合わせて26日から記念メダルが全国の百貨店などで発売されることになったのだ。売り出されるのは60グラムの純金メダル(99万円、限定100個)、70グラムの純銀メダル(3万6300円、限定1000個)など3種類。表面に朝乃山の肖像、裏面には化粧まわし姿と本人のサイン、地元・富山の雨晴海岸と立山連峰などが彫刻されている。

 メダル製作を手掛けたグローバル産業の東野行恭社長(83)は「富山出身力士では太刀山以来111年ぶりの大関誕生。そこで日本相撲協会から承認をいただき、メダルを作ることになったのです。ぜひ多くの方に手に取っていただきたい」と説明した。これまでにも同社は米メジャーリーグで活躍した野茂英雄やイチローらスポーツ関連の記念メダルを販売してきた実績を持つ。

 大相撲では今回の朝乃山が初めてだが、実は過去にメダル化が〝幻〟に終わった力士がいるという。2017年の初場所後に日本出身で19年ぶりの横綱となった稀勢の里(34=現荒磯親方)だ。東野社長は「当時はすでに(相撲協会と)契約も済ませていたんです。それで、いよいよ販売に踏み切ることになったんです」と明かす。

 ところが、稀勢の里は新横綱で優勝した春場所で左腕を負傷。翌場所から8場所連続で休場し、最終的に昨年初場所での引退を余儀なくされた。東野社長は「売り出す時に休場となって、その後も休場が続いて…。売るタイミングを失ったんです」。同社にとって今回のメダルは、稀勢の里メダルがお蔵入りとなった無念の思いを晴らす期待も込められているのだ。

 東野社長は朝乃山が横綱に昇進した際には、第2弾のメダルを販売する計画も披露。新大関にかかる期待は膨らむばかりだ。