モンスターに死角なしだ。WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(29=大橋)が15日、WBC同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)との3団体統一戦(6月7日、さいたまスーパーアリーナ)に向けたスパーリングを敢行。いつものようにTシャツを着用せずに抜群の動きを見せたが、この上半身裸の独自スタイルも対戦相手の脅威になっているという。いったい、どういうことか。

 早くもスイッチが入った。井上はパートナーに指名した日本スーパーバンタム級ユース王者・津川龍也(ミツキ)とスパーリング。さらに世界王座挑戦経験のある日本フェザー級20位のジェネシス・セルバニア(カシミ)とも実戦練習を行った。見守った大橋秀行会長は「スピード、タイミング、パワー全開でした」と舌を巻き、決戦の約2か月前で順調すぎるほどの仕上がりを見せた。

 因縁の相手、ドネアとは2019年11月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)のバンタム級トーナメント決勝で対戦して判定勝ち。しかし、激闘の試合中に右目眼窩底骨折して「ドネアが2人。モノが二重に見える」と苦戦を強いられた。それだけに今回の再戦に向けては「必ず前回以上の内容で勝つことを約束します」「今はベルトじゃなくてドネアを倒すだけ」と並々ならぬ闘志を燃やしている。

 その井上は、試合前のスパーリングでもモンスターぶりを発揮することでも知られている。多くの選手はTシャツを着てスパーリングを行う中、井上は上半身裸になるのが恒例。布1枚でも微妙に感覚がズレるため「練習から試合と同じように上は裸。昔からずっと変わっていない」(大橋ジム関係者)と一貫している。日本人ボクサーでは極めて珍しいが、このこだわりが相手へ脅威を与えるという。

 元日本王者は次のように指摘する。「ボクサーって試合まで体をできるだけ隠したいもの。でも、井上君は必ず肉体をさらす。これが逆に(対戦相手には)プレッシャーになるんですよ。隠されるより、ありのままの姿をさらけ出されたほうが『俺は強いぞ』って言われているようで、一歩引いてしまう」

 今の時代、練習画像を公開すれば一瞬にして海外にまで伝わる。この日に披露したムキムキの肉体は、ドネア陣営の目にも留まっていることだろう。自ら宣言する圧勝劇へ向けて、準備に抜かりはないようだ。