【直撃!エモPeople】1980年代後半に爆発的な人気を呼んだバトルスーツアニメ「鎧伝サムライトルーパー」が、2018年の放送30周年を機に再ブームを呼んでいる。ここ数年で各社が関連グッズを発売。ユニバーサル ミュージックはアニメファンの間でも浸透している「御朱印帳」5種類を3月25日に発売する。主要キャラクター5人が表紙になっており、描き下ろしたのはイラスト界の第一人者で奇才・岡本英郎氏(61)。「サムライトルーパー」の魅力、そして岡本氏のあまりに奇想天外すぎる素顔に迫る。
「鎧伝サムライトルーパー」は、1988年4月から翌年3月までテレビ朝日系で放送され、爆発的な人気を誇った。いわゆる「バトルスーツアニメ」の代表的作品で、戦国武将の子孫である5人の少年(烈火のリョウ、
天空のトウマ、光輪のセイジ、水滸のシン、金剛のシュウ)が、人間界を支配しようとするため、東京を支配した妖邪帝王・阿羅醐に立ち向かう壮大なストーリーだ。
他のバトルものと大きく異なるのは、舞台が日本であり、主人公たちはいずれも和風色満載の戦国武将の鎧と戦闘服を着用しているところだ。従来の戦闘アニメにはない斬新なキャラクターだっただけに、放送と同時に子供から女性まで幅広いファン層を獲得した。
そして放送から30周年の2018年からブームが再燃した。Blu―rayボックスが発売され、現在も各社からフィギュ
ア、Tシャツ、キーホルダーなどのグッズが相次いで販売され人気を呼んでいる。今回はユニバーサル社が「御朱印帳」を発売するに至った。
それにしてもなぜ御朱印帳なのか。イラストを手掛けた岡本氏はこう説明する。
「アニメファンの間では御朱印帳は浸透しているんです。ゆかりの場所を訪れて、その土地のスタンプを押すという楽しみがある。特に『サムライ――』の場合は舞台が日本ですから、全国にゆかりの場所がある。ですから今回の鎧のイラストも、とにかく『和のテイスト』を前面に強調して描きました」
まるで大学教授のように淡々と語る岡本氏だが、その経歴はあまりに波乱に満ち、かつマルチすぎるものだった。高校時代からイラストに熱中し、あの「宇宙戦艦ヤマト」のプロデューサーの一人で“アニメ界の神様”とされる野崎欣宏氏にその才能を認められる。わずか18歳で野崎氏からの仕事を請け負う、その初めての仕事は「宇宙大帝ゴッドシグマ」の玩具のミニカードだった。
「僕の場合は流れでイラストレーターになったと思っていたんですが(野崎氏のように)いろんな人が場面場面で背中を押してくれたのかもしれませんね」。その後デザイン会社「デザインメイト」に就職。やがて独立し、国内有数のアニメ会社数社からの仕事を請け負い「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「桃太郎伝説 PEACHBOY LEGEND」などの大作でもデザインに関わった。
そして88年「サムライ――」の放送開始に伴って、数社による鎧デザインのコンペに参加。「戦いに臨む心境でした。俺が絶対奪い取る、お前らの会社を潰してやる、負けたら業界から身を引くつもりで描きました。ケンカですよね」と“武闘派”の一面も見せる。そして見事に岡本氏のデザインが採用された。
ちなみに岡本氏の高校の柔道の授業担任は、あの“柔道の鬼”木村政彦氏で、ある日不良グループに勧誘された時、その不良を木村氏仕込みの送り襟絞めで撃退した“路上伝説”も持つ。
ひとつの大きな目標を達成すると、新たな道へ進む性質はさらに強くなった。90年代には「ゴジラ対デストロイア」「モスラ MOTHRA」「ゴジラ2000 ミレニアム」などの特撮映画のデザインに進出。特撮番組「忍者戦隊カクレンジャー」のデザインにも関わり、18年には米シアトルのアニメコンベンションにゲストとして招待された。
さらには映画監督も兼任する。「年に1本は撮るようにしています。僕の場合(仕事が)後から後から追ってくるんですよね」。これまで数本を手掛け、15年にはAKB48の藤江れいな主演の「幽鬼」を撮影。5月にも新作が公開される。
実は大のプロレスファンでもあり「アニメのキャラクターの動きはプロレスの動きと通じるところが多い」とも語る。意外だが、94年の全女東京ドーム大会でデビューしたブリザードYukiのマスクも岡本氏がデザイン。我闘雲舞のさくらえみが昨年米AEWに参戦した際もコスチュームをデザインした。もはや二刀流をはるかに超えたマルチアーティストだ。
「僕は『言えばそうなる理論』というものを考え実践しました。結局言えば、その通りになっているんです。若い人は自分の可能性を最初から否定する場合が多い。それじゃあ実現するものもしなくなる」
UMA研究家としての活動も続けており、20年前にはアイルランドを訪れて牙怪獣「ドアル・クー」の撮影に成功。15年12月にはビートたけしの番組に出演して画像を公開した。スコットランドのネス湖、モラー湖も訪れ、09年には7メートルのワニと10メートルのヘビを捕獲するためタイまで遠征した。
「もう年なので、死ぬまでにはカナダを訪れビッグフットを探したい。それとワニとヘビ。7メートルのワニに食われて死んだら本望です」と語る。本人撮影による実写版も見たい気もするが…。
半世紀以上イラストを描き続けたため、両腕の指は腱鞘炎でほとんど動かない。それでも創作活動への闘志は衰えない。「体力のあるうちに『サムライトルーパー』の実写版と舞台版を手掛けたい。ブームの再燃を盛り上げたいですね。やることはまだまだあります」と意欲を見せた。マルチすぎる奇才・岡本氏のアーティストとしての野望は、永遠に燃え続ける。
☆おかもと・ひでお 1960年3月28日、東京・葛飾区亀有出身。デザイナー、イラストレーター。UMA研究家でもあり、近年は実写映画の監督も務めるなどマルチな活躍をしている。デザイナーとして参加した代表作は「鎧伝サムライトルーパー」。他にも「機動戦士Zガンダム「機動戦士ガンダムZZ」「ゴジラVSデストロイア」などがある。













