【中国・北京発「支局便り」】思わぬ人物の〝登場〟にビックリした。スノーボード女子ビッグエア決勝(15日)で4位に終わった岩渕麗楽(20=バートン)は、2大会連続で表彰台を逃した悔しさから目に涙をにじませていた。

「本当にたくさんの人に応援してもらっている中で結果につながる滑りができなかったのはすごく残念に思っています」

 実は前日の予選で左手甲のあたりを骨折。患部は固定していたものの、ボードをつかむ「グラブ」が困難なほどギリギリの状態で大一番に臨んでいたのだ。

 そんな岩渕の雄姿を見守っていたのが、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長だった。試合後のミックスゾーンで肩を落とす20歳に、日本代表の関係者から長方形の白い箱が手渡された。関係者によると「バッハ会長が〝選手が骨折していたけれども、頑張って出てくれた〟ということで預かってきた」。

 岩渕が箱を開けて中身を確認すると、スイスの時計大手スウォッチの腕時計が入っていた。同社の傘下ブランド「オメガ」が大会スポンサーになっていることから、五輪のロゴが入った記念品が贈られたようだ。

〝ビッグボス〟からのサプライズに岩渕は「見てもらえてると思わなかったし、こういうの初めてなのでもらえてうれしいです」と、気づけば明るい表情になっていた。もしかすると、メダル以上にレアなアイテムかもしれない。

 バッハ会長と言えば、海外メディアから「ぼったくり男爵」と呼ばれたように〝金満五輪〟の象徴のイメージもつきまとう。それでも、この日の行動に限って見れば「アスリートファースト」の横顔をうかがわせた。取材後、バッハ会長のコメントを勝手に想像してみた。「痛みに耐えて頑張った。感動した!」。なぜか、元首相が平成の大横綱に送った言葉が頭に浮かんでいた。