【取材の裏側 現場ノート】開幕まで2か月を切った北京冬季五輪について、世界中が大きな注目を集めている。
ただし、スポットライトが当たっているのは残念ながら実施競技や選手ではなく、ホスト国や国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢だ。
先月、女子テニスの彭帥(35=中国)が、中国の張高麗元副首相(75)に性的関係を強要されたと告発した後に消息不明になった問題は世界に衝撃を与えた。これを受けて女子テニスツアーを統括するWTAは中国での大会開催を見合わせることを発表。その一方でIOCは中国とともに彭の無事をアピールするなど火消しを図ってきた。
トーマス・バッハ会長は彭とテレビ電話を行ったが、五輪関係者が「中国の選手以外に同じことをやるかと言えばそれは疑問」と指摘するように、こうしたIOCの行動の裏には北京五輪を成功させたいという思惑が見え隠れする。振り返ればコロナ禍で迎えた東京五輪も〝強行開催〟のイメージが付きまとい、米ワシントン・ポストはコラムでバッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼んだ。
そんなIOCに対する国内の反応は東京五輪前から冷ややかだった。日本オリンピック委員会(JOC)関係者は「意思決定のプロセスがあまりにも不明確」と首を傾げた上で「政治はいろいろなものがあるので科学的なものだけでは決められないのは理解できるが、(コロナ禍の対応において)たとえば数値化できるようなもの、これが基準を上回った場合にはこのような検討をするとか。そういうものを共有してもらえたら…」とこぼしていた。
また、五輪事情に詳しいスポーツビジネス専門家は「IOCに日本国民は見えていないと思う。日本は五輪大好きで自分たちに従順と思っているのでは」と私見を述べ、ある大会組織委員会関係者は「IOCをはじめとする五輪ファミリーと呼ばれる人たちはただの金持ちじゃない。いわゆる名家の生まれで伯爵や男爵と言われる人たち。特権階級で育った人が基本的に人の言うことを聞くわけがない」と不満を漏らしていたのが印象的だった。
IOCに不信感を抱く関係者が少なくない中、北京五輪に関しては中国の人権問題を巡って米国、オーストラリア、英国、カナダが外交ボイコットを表明。日本の決断にも高い関心が持たれている。開幕まで予断を許さない状況が続きそうだ。
(五輪担当・小松 勝)












