コロナ禍で大会の中止や開催規模縮小など活動に制限が設けられているフィギュアスケートだが、現在、女子において〝地殻変動〟が起こっているのをご存じだろうか?
女子フィギュア界と言っても、現時点でのトップ選手はロシア勢で占められているため、厳密にいえば「ロシアのフィギュア界」の話である。
昨年3月にさいたまで行われた世界選手権は、2018年平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ(ロシア)が優勝。2位がエリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン)、3位は平昌五輪銀のエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)だった。
その9か月後にイタリア・トリノで行われたグランプリ(GP)ファイナルでは、優勝がアリョーナ・コストルナヤ、2位がアンナ・シェルバコワ、3位がアレクサンドラ・トルソワとロシア勢が表彰台を独占。日本の新エース・紀平梨花さえも3位のトルソワに16点以上の差をつけられ、4位が精一杯だった。
この時、コストルナヤが16歳、シェルバコワとトルソワは15歳。17歳で出場した紀平でも若い部類のはずだったが、それ以上の低年齢化が進んでいた。驚異的なのは、シェルバコワとトルソワは男子顔負けの4回転ジャンプを跳び、コストルナヤもトリプルアクセル(3回転半ジャンプ、3A)を使いこなしたうえで、豊かな表現力を備えていることだ。
女子の4回転時代はさらに進化し、今夏、トルソワは5種類の4回転ジャンプを跳ぶことに成功。11月にはジュニアの13歳、ソフィア・アカチェワが「ロシア杯」のフリーで4回転2本+3Aを史上初めて成功させた。まだ4回転ジャンプを実戦投入していない紀平はともかく、五輪女王のザギトワやメドベージェワは完全に置いて行かれた格好だ。
さらに衝撃が走ったのは6日に行われた国内大会「ロシア杯」第5戦の女子ショートプログラム(SP)。14歳のカミラ・ワリエワが3Aをジャンプの2本目に組み込んで着氷に成功したのだ。
ワリエワは冒頭に3回転フリップを跳んだ後に3Aにアタック。残念ながらステップアウトしたため出来栄え点(GOE)はマイナスがついたが、恐ろしいのはこの後に跳んだルッツ―トーループの3回転コンビネーションも含め、すべてのジャンプが両手を上げながら跳ぶ「タノジャンプ」だったこと。日本ではGPシリーズ「NHK杯」を制した坂本花織(20=シスメックス)の演技が大きな感動を生んだが、坂本のSPは75・60点。ローカル大会で採点基準が異なるとはいえ、ワリエワのSPは86・20点。もはや別の競技を行っているかのような数字だ。
昨年のGPファイナルの「3強」でさえも、今では下からの突き上げに脅威を覚える時代。この地殻変動に紀平、坂本ら日本勢がどう立ち向かっていくのかも見ものだ。












