細田博之衆院議長(78)が先日、自民党議員のパーティーで「月100万円未満の手取りの議員を多少増やしたって罰は当たらない」と発言し、炎上した。本人はその後、懇談した各党代表者らに対し「あちこちから怒られて反省している」などと語ったというが、今年2月にも国家主権を揺るがす失言があった。

 衆院選で1票の格差を是正するため、岸田文雄首相の諮問機関は国勢調査に基づき、東京など人口の多い選挙区を10増、少ない地方を10減する区割り策定案をまとめつつある。人口が全国で2番目に少ない島根が地元の細田氏は「都会で増やすだけが能じゃない」「地方いじめのようだ」と、区割り案に反対する発言を繰り返してきた。

 そもそも10減10増は与党が提案、法改正した計算式に基づいてはじき出されたもの。この期に及んで反対を叫ぶのは“自己批判”でしかなく、参院選を控えた与党側は細田氏の発言に神経をとがらせている。

「もっとひどい発言が地元であった」と明かすのは、今年2月22日に松江であった「竹島の日」記念式典に出席した民間団体関係者。式典は竹島返還や領土権の確立を訴える抗議集会のような意味合いで毎年開かれている。

 予算案の採決があり、出席を見送った細田氏はビデオメッセージを寄せ、開口一番「本日は第17回目の竹島の日の記念式典、ご盛会おめでとうございます」と参加者をねぎらった。同関係者は「会場内がシーンとなりました。目が点になった」と振り返る。

 というのも、竹島問題を研究する有識者がこれまで何度も「『竹島の記念式典、おめでとうございます』とあいさつする政治家がいる」と注意を繰り返してきたから。竹島は1953年から韓国の不法占拠が続き、解決の糸口が見えない。憤りを抱く参加者を前に、地元選出議員の“おめでとう発言”は「あきれて物も言えない」(前同)というわけだ。

「細田さんは念願の議長に就任し、年齢的にも次は引退。後がないから気持ち的に余裕があり、舌禍につながってるんだろう」とは永田町関係者。だが地元・島根の自民関係者によれば「実は後継候補が見つかってない。『もう1期頑張ってほしい』という声もある」という。失言癖を直す年でもなかろう。