ウクライナへの侵攻でロシアに対する国際的な非難が日に日に増す中、ウクライナは海外から志願兵を募っている。在日ウクライナ大使館も募集のツイートをし、日本人から問い合わせが殺到しているという。この「国際義勇軍」に日本人が参加することは可能なのか。

 在日ウクライナ大使館は「ゼレンスキー大統領は27日、ボランティアとしてウクライナ兵と共にロシア軍に対して戦いたい各国の方々へ、新しく設置されるウクライナ領土防衛部隊外国人軍団への動員を呼び掛けた。お問い合わせは在日ウクライナ大使館まで」と27日にツイートしていた。

 この書き込みには「応募資格が気になります」「戦闘経験0で言語しゃべれないけど一緒に戦いたいな」「兵役経験なし、難病持ちですが可能でしょうか」「ニートでも大丈夫ですか」「就活で役立つかな」などと前向きなコメントが寄せられていた。

 問い合わせが多かったのか、同大使館は28日になって「日本の皆様から多くのお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。候補に対する大事な条件の一つは、自衛隊経験など、専門的な訓練の経験です。ご了承をお願い致します」とツイートしている。

 過去、義勇兵の存在が注目されたことがあった。有名なのはスペイン内戦で、「国際旅団」という義勇兵団には作家のアーネスト・ヘミングウェーやジョージ・オーウェル、アンドレ・マルローら文化人が参加したことで知られる。関心が高いのも当然だろう。

 果たして日本人から国際義勇軍に参加する人はいるのか気になるところだが、その前にこんな指摘もある。参加は日本の法律である「私戦予備罪・私戦陰謀罪」にあたるのではないかというのだ。

 この法律は刑法93条で「外国に対して私的に戦闘行為する目的で、その予備又は陰謀をした者」を処罰するというもの。聞き慣れない罪名だが、2014年に「イスラム国」に参加しようとした大学生らに適用された(不起訴処分)。

 元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は「私戦予備罪にあたる恐れがあります」とキッパリ。

「この法律は日本国の外交上の利益を守るためのものです。戦争も外交の手段の一つで、戦争する、しないは国が決めること。こうした国の専権を侵すことが罪となるのです」

 正義感に駆られて1人の日本人が義勇軍に参加したことで、日本が戦争にかかわったと対外的に受け取られたら、日本人全体にリスクが発生してしまう。「この犯罪は自首したら刑が免除されるという珍しいものです。一般的には自首なら減刑になる程度。なぜ免除かというと、それだけ影響が大きすぎるので、一刻も早く教えてほしいということなのです」(横粂氏)

 過去に同罪が適用されたケースは先述の一例のみのため、実際にどうなるかは不透明な部分もある。「思いが正しくてもほかの日本人に影響が出てきかねません。参加はやめておいた方が無難でしょう」と横粂氏。日本にいながらできることをしよう。