英首相が呼びかけた自転車通勤 日本での普及に立ちはだかる壁

2020年05月12日 16時20分

英国のジョンソン首相(ロイター)

 英国のジョンソン首相は10日、テレビ演説でロックダウン(都市封鎖)の段階的緩和計画を発表した。その上で在宅勤務が不可能な人に対し、週明けから「ソーシャルディスタンスを守って積極的に仕事に行ってほしい」と呼びかけた。

 密を避けるために公共交通機関ではなく自転車での通勤が推奨されている。実際、世界保健機関(WHO)はソーシャルディスタンスを守るために、自転車通勤を推奨。ロンドンのほかニューヨークやパリといった世界の主要都市でも、自転車通勤の増加を見越して、地下鉄に並行した道の自転車レーンを拡充するなどの対策を取っている。

 日本でも満員電車の“密状態”を心配する声が上がっているが、緊急事態宣言が解除されて通勤する人が増えれば、満員電車を避けて自主的に自転車通勤する人が増えるだろう。

 ただ自転車の社会インフラ化を推進する関係者は、日本で自転車通勤が普及するには、いくつかの課題があるという。

「ひとつは駐輪場所の確保。広い敷地を持つ会社はいいが、そうでない会社は自転車を止める場所がない。また、自転車レーンが確保されていない道も多い上に、会社が自転車通勤を認めていなければ、事故の際に労災認定の問題もある」。自転車通勤を認める部分以外は一朝一夕に解決できる課題ではないが、国がリーダーシップを発揮して解決する必要があるということだ。

 こんな状況を見越してか、国土交通省は4月に「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」なるものを立ち上げた。自転車通勤を促進し、社員に推奨する企業を認定するというものだが、前出の関係者は「自転車通勤を促進させるのは素晴らしいが、そのためのインフラ拡充がなければ容易ではない」と指摘する。

 緊急時の今だからこそ“アベノマスク”なんかより、必要なところに税金を使ってほしいものだが…。