私のサッカー人生を変えてくれた5人の恩人

2020年05月19日 11時00分

プレーの幅を広げてくれた松田監督

【なでしこリーグ歴代最182点 大野忍 ひとりごと】現役生活に別れを告げ、今年から指導者になったものの、新型コロナウイルスの影響でサッカー界はほぼすべての活動が止まり、私もスクールなどでの指導ができない状況です。そんな中で、最近はどんな指導者になりたいかを考える時間も増えました。悪ガキだった私がここまで成長できたのは、やはり素晴らしい指導者との出会いがあったから。その中で、私のサッカー人生を大きく変えてくれた5人の監督の話をしたいと思います。

 まずは、中学1年の時に入団した読売西友メニーナ(現日テレ・メニーナ)の監督だった大須賀まきさん。今はなでしこリーグ2部ちふれ埼玉(旧狭山)の下部組織を指導しているのですが、とにかく負けず嫌いな方でした。言葉にも重みがあり、今でも教わったことは誇りです。私の負けず嫌いな部分は大須賀さんから学んだものだと思います。

 次は森栄次さん(60=現浦和レディース監督)。私をメニーナからトップチームのベレーザに上げてくれた方。とにかく選手の将来性とか可能性を見極めることに優れていました。森監督のもとで試合にほとんど出ることはできませんでしたが、いつも気にかけてくれました。どうして私をトップに昇格させたのかを知ったのはかなり後になってからでしたが、その考え方は今でも勉強になるものです。

 3人目の寺谷真弓さん(48=J2東京Vアカデミーダイレクター)は、とにかく怖い方でした。私がベレーザに昇格した後にメニーナの監督になられたので接点は少ないのですが、悪ガキだった私を「元に戻してくれた」と言ってもいい方です。選手に嫌われたくないと考える指導者もいる中で、強くなるために寺谷さんは自分が悪者になることを苦としない。昨年、Jクラブで初の女性育成責任者になったのもうなずけます。私もこんな信念を貫ける指導者になれたらいいと思います。

 2005年からベレーザの監督になった松田岳夫さん(58=現J3福島監督)は私にサッカーの奥深さを教えてくれた方でした。とにかく「引き出し」の多い監督で、練習メニューも豊富。それは全て試合につながっていて、私が指導者の面白さを感じ始めたのも松田さんがきっかけだったような気がします。

 松田さんのもとでコーチを務め、後にベレーザを指揮した星川敬さん(43)からは「世界観」を叩き込まれました。11年に入団したINAC神戸でも指導を受けましたが、よく口にしていたのは「男子サッカーを見ろ」。これからの女子サッカーは男子がやるようなプレーをしないと勝てないという持論があり「お前たちならそれができる」と言われ続けました。その年のドイツ女子W杯で優勝できたのも、星川さんの指導と無関係ではなかったと思います。

 今回の「5人」には入れませんでしたが、なでしこジャパンの佐々木則夫さん(61)も素晴らしい監督。先に挙げた寺谷さんと同じで、選手から嫌われても自分の信念を貫き通しました。ある意味、別格です。

 こうして振り返ってみると、私は本当に指導者に恵まれていたと実感します。これからの指導者人生でこれを生かさない手はありません。まだ新米で経験もないけど、ぶれない指導をする信念だけは持ち続けたいと思っています。