立ち技打撃格闘技イベント「RISE WORLD SERIES 2019」(21日、エディオンアリーナ大阪)の58キロ級トーナメント準決勝で、“キック界の神童”那須川天心(20)がスアキム・PKセンチャイムエタイジム(23=タイ)を下して決勝戦(9月16日、千葉・幕張メッセ)に駒を進めた。

 神童の大阪初上陸は異例ずくめだった。観衆はチケット完売の5850人。消防関係者が抜き打ちで会場視察に訪れるひと幕もあったという。

 試合では関西を意識した虎柄コスチュームで入場。ファンのハートをがっちりつかむや、1、2Rは相手の動きを見つつ的確なパンチとローキックをヒットさせた。そして最終3Rに入ると一気にギアチェンジだ。

 高速のラッシュでプレッシャーをかけ、最後は華麗な胴回し回転蹴り一閃。これが見事に相手の顔面を捉えて大流血させ、3R1分13秒、TKO勝ちした。スアキムの額はザックリ割れ、骨まで露出。その驚異的な切れ味を物語った。

 ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者のスアキムとは今回が2度目の対戦。昨年2月の初対決では苦戦を強いられたうえでの判定勝利だった。その相手に進化を見せつけたことを「最近、けっこう相手を切っているんです。殺傷能力がすごいついたと思います。相手も相当パンチを研究、警戒していてストレートがほとんど当たらなかった。でもその分、練習していたフックが当たった。やっぱり練習はうそをつかない」と満足そうに振り返った。

「9月はもっといい那須川天心を見せるので、期待してほしい」。

 日本人対決となる志朗(26)との決勝を制し、また一つ大きな勲章を手にする。