新型コロナウイルス禍で開催された東京五輪の経済的損失が叫ばれているが、決して利益がなかったわけではない。米メディア「タイム」がプラス要素に目を向けている。

 同メディアは、東京五輪は完全な損失とは言えないとした上で、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストの主張を伝えた。木内氏は、中止論が盛んに叫ばれていた6月に短期的な経済効果を1兆8000億円と予測し、ほぼ無観客開催となったことで1兆6700億円に引き下げた。

 経済効果の数字自体は当初の予測を完全に下回るが、同氏は「私は経済的なレガシーが実現することを期待している。ホテルやレストランは、外国人観光客の利便性や快適性のために改装費用をかけており、これは大会の経済的レガシーのひとつであり、日本への外国人観光客の誘致にも貢献すると思う」との見解を示した。

 また同メディアは東京五輪による細かい恩恵を紹介。国立競技場やそのほか施設の建設などで建設業界は利益を得ているとし、無観客開催となったことで家電量販店では大型テレビの売り上げが伸びたという。また堀米雄斗や西矢椛らの金メダリストで盛り上がるスケートボード業界のマーケットがさらに拡大する兆しを見せている。

 ここで指摘された小さな〝芽〟が大きな花を咲かせれば、大きな経済効果が発生する。決して開催も無駄ではないとなるだろうが、果たしてそうなる日は来るのだろうか。