大阪府の吉村洋文知事(46)が28日、府庁で報道陣の取材に応じ、会場の利用許可が取り消された「表現の不自由展かんさい」について改めて言及した。

 同展は大阪市の大阪府立労働センター「エル・大阪」で7月16~18日に開催予定だった。しかし、抗議が相次いだため、会場側は利用者らの安全が確保できないとして、25日付で利用許可を取り消した。

 これを受け、吉村氏は26日に「施設の管理運営を考えると取り消すべき」と同調したが、主催者側の一部が「憲法に保障されている表現や集会の自由を知事自らが脅かすことに加担している」と反論していた。

 2019年に愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」でも抗議が殺到したが、吉村氏は「あいちトリエンナーレは、行政が主催者となり公金を投入するものなので反対の立場。大阪府が主催者となることもない。ただ、表現の自由がある国ですから、民間の責任でやる分には制限されるものではない。あいちトリエンナーレと違って、行政として表現内容に立ち行ったり、評価するつもりはない」と述べた。

 吉村氏は、さまざまな思想に基づく集会の利用を取り消していると主張した上で、今回のエル・大阪の判断について「行政の所有する施設であって管理権がある。現状で100件近い抗議や街宣活動が施設に寄せられている。展示会を開催した場合、安全に運営していくという点で、管理上支障が生じるというのが施設管理者の判断であり、僕自身も賛成で利用を取り消すべきだ。開始前でこの状態だから、開始になったら大混乱が予測される」と改めて利用禁止の正当性を訴えた。