緊急事態宣言で多くの飲食店が困難に直面している。時短要請によって集客ができず赤字を抱える店も多い。こうした飲食店の影響を受けて、食材の販路を断たれてしまった生産者も増えている。そんな生産者を救おうと、レストランで働くシェフらが立ち上がった。

 国内産直通販サイト「食べチョク」を運営する「株式会社ビビッドガーデン」は生産者を応援するシェフグループ「#Cook For Japan」とコラボし「食べチョク」に出品されている食材を使った料理を提供する期間限定のポップアップレストランを東京・新大久保にオープンする(16日から2週間限定)。

 新型コロナや自然災害などの影響を受けて困っている生産者の食材を中心に使用した料理を提供するほか、食べチョク食材を使ったパスタソースやライスコロッケなどをインターネットで販売するという。

 同企画は「生産者の食材を適正価格で買い、価値を高めて皆さまに楽しんでいただきたい」というシェフの思いによって実現したもので、この活動によって「生産者のこだわりが正当に評価される世界」を目指す。

 同社の担当者は「既存流通ももちろん食材は適正価格で販売されることが多いが、供給過多によって極端に値段が暴落することが時折あり、『野菜の価格が暴落』といったニュースがよくある。そのため、味などのこだわりに見合った適正な対価をシェフが生産者に支払うということが重要だと考えている」と話す。

 食べチョクでは、生産者が自分で価格を決め、直接販売することで高い利益(売値の8割)を還元するというモデルを提供している。

 同担当者は「既存流通では、スーパーや八百屋さんに安定供給されるというメリットがある一方で、形や大きさで値段が決まってしまうため、少量で味などにこだわり勝負している生産者が儲かりづらいという課題があった。そういった生産者のための販路としてこのサービスを通じて『生産者のこだわりが正当に評価される世界』を目指していきたい」と話している。