今夏の東京五輪が強行されれば大規模なサイバーテロに見舞われそうだ。

 富士通の情報共有ツールに外部から不正アクセスがあり外務省や国土交通省などの個人情報が流出した問題で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の個人情報も漏れていたことが判明。富士通側は丸川珠代五輪相に対して経緯を説明したうえで謝罪した。

 今回新たに流出が確認されたのは、内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンターが東京五輪開催中のサイバー攻撃に備えて実施した情報共有訓練の参加者の所属先や役職、名前などとみられる。

 これまでも五輪などの国際大会はサイバーテロの標的となってきたが、今回の東京五輪は新型コロナ禍で運営に混乱が生じている中、非常に深刻な危険が迫っている。

 英メディア「サイバースクープ」は「国家にリンクしたハッカーが繰り返しスポーツイベントに関心を示しているため、サイバーセキュリティー対策は五輪主催者にとって必須のものになっている」と指摘したうえで、調査会社フォレスターのメリット・マキシム副社長による警告を報じた。

「今回の最新の事件は憂慮すべきことだ。大規模なスポーツイベントを保護するために、継続的なサイバー警戒が必要である」とマキシム氏。そして「スパイ、そしてサイバーの脅威がある。ランサムウェア(コンピューターウイルスの一種)の犯罪者が、オリンピックに関与する組織や関係者に対して恐喝する機が熟していると見なしている可能性がある」と五輪関係者を標的にした大規模なサイバーテロが起きる可能性が高いと強く警鐘を鳴らした。

 新型コロナ禍が深刻化する中で多くの国民の生命を危険にさらそうとしている東京五輪。このまま強行すれば、命だけでなく様々な面で甚大な被害が出てしまいそうだ。