レディー・ガガとアダム・ドライバーが共演し、イタリアの高級ファッションブランド「グッチ」の創業者一族をめぐる暗殺事件を赤裸々に描いた映画「ハウス・オブ・グッチ」に当事者が不満をブチまけた。

 今年11月に公開予定の同作は「エイリアン」や「ブラックレイン」のリドリー・スコット監督が手掛ける。アダムは創業者グッチオ・グッチの孫で同ブランドの経営を担ったマウリツィオ・グッチに扮し、ガガは後にマウリツィオを暗殺した元妻パトリツィア・レッジアーニを演じる。

 マウリツィオのまたいとこに当たるパトリツィア・グッチ氏は今週、AP通信とのインタビューで、同作が事件をよりセンセーショナルに描き、グッチ家のプライバシーを侵害するものだと訴えた。

 同氏は「一族を代表して言わせてもらうが、本当にがっかりした」と憤慨。

 続けて「(製作側は)ハリウッドのカネ儲けのため、一家族のアイデンティティーを奪った。私たちの家族にはアイデンティティーやプライバシーがある。私たちは何でも話せるが、越えられない一線がある」と不満を募らせた。

「マウリツィオ暗殺事件」とは1995年3月、グッチの女帝のように振る舞っていたレッジアーニが、自分と離婚して別の女性との再婚を決めたグッチ家3代目の元夫をマフィアを使い殺害した衝撃の事件だ。

 事件は発生から2年後、暗殺犯が受け取った報酬金が少なかったことから発覚。レッジアーニは逮捕され、裁判で禁錮29年の有罪判決が言い渡された。98年から服役し、短縮された刑期を2016年に終え、出所した。

 この暗殺事件はハリウッドにとって格好の題材となり、映画化構想が00年代初頭から幾度も浮上しては立ち消えていた。

 グッチ一族は93年に株式を売却し、経営から撤退。同ブランドは04年に仏大手企業体ケリング傘下に買収された。