沢尻容疑者逮捕でまた出た!「政府陰謀論」過去のケースを検証

2019年11月18日 17時00分

逮捕された沢尻容疑者

 女優の沢尻エリカ(33)が麻薬取締法違反容疑で逮捕されたタイミングを巡って、安倍政権による陰謀だとささやかれている。タレントのラサール石井(64)はツイッターで「政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される」と沢尻逮捕が政府の差し金だと指摘。過去にも芸能スキャンダルがあるたびに「政治の問題から国民の目をそらすためだ」と陰謀論が巻き起こっていたが、実際どうなのか。

 ラサール石井がツイッターで「まただよ。政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。これもう冗談じゃなく、次期逮捕予定者リストがあって、誰かゴーサイン出してるでしょ」とつぶやいたことが話題になった。これには賛同する声もあれば、実業家でホリエモンこと堀江貴文氏が「こいつ頭にウジ湧いてんな笑笑」とつぶやいたように批判的反応も殺到している。

 安倍政権は今、発足以来最大級のピンチに陥っている。「桜を見る会」を巡る疑惑で野党やマスコミの追及を受ける日々が続いていた。桜を見る会は毎年4月に東京・新宿御苑で行われる首相主催の公的行事。1952年に吉田茂首相が始めたという歴史あるイベントだ。

 そのイベントに安倍首相の後援会関係者など支援者が多数招かれていたことに疑惑の目が向けられている。さらに、前夜祭として安倍首相の支援者向けに高級ホテルで会費5000円の格安パーティーが開かれていたことも野党は問題視。安すぎる代金を安倍事務所が肩代わりしていたら公職選挙法違反になるのではというのだ。これらの疑惑に安倍首相は珍しく即席会見を開いて対応。問題の大きさをうかがわせた。

 野党の追及がこれから勢いを増すタイミングで降って湧いたのが沢尻逮捕のニュース。これでマスコミの報道が桜を見る会から沢尻に移るのではということで、ラサール石井のように陰謀論を唱える人が続出している。

 実はこうした陰謀論は初めてではない。2016年に元プロ野球選手の清原和博氏が逮捕された時は、甘利明内閣府特命担当相(当時)がスキャンダルで辞任したばかりのタイミング。甘利隠しと指摘されていた。

 また、同年12月には覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されていたASKAが不起訴処分となり釈放される件があったが、「年金カット法案の強行採決隠し」「日露外交失敗隠し」などと言われた。

 今年3月に麻薬取締法違反でピエール瀧が逮捕された時は、沖縄県民投票で米軍普天間飛行場の辺野古移設反対が圧倒的だった結果を隠すためともささやかれた。直近ではお笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実の所得隠しがあったが、これも菅原一秀前経産相のスキャンダルから国民の目をそらすためという指摘があった。もっとも、徳井の件が明らかになった数日後に菅原氏は辞任。その後は河井克行前法相の辞任もあり、徳井が政治スキャンダルを隠せたとは言えない。

 過去のケースを振り返る限り、芸能人の逮捕で政治の問題が隠れたといえる例はあまりない。陰謀はあるのか。

 永田町関係者は「芸能人の逮捕はワイドショーで大きく扱われることから、何かあるたびに『政府の不祥事隠しだ』と言われ続けてきました。しかし、政治の世界では常に懸案事項があるものです。だからいつ芸能人の逮捕があっても政治的問題とかち合いますよ」と指摘。

 薬物事件の場合、“ブツ”が出てこないと逮捕できないわけで、権力側が好きなタイミングで逮捕できると考えるのには無理がある。

 もっとも、今の政治に問題がないというわけではない。今国会では日米貿易協定承認案の採決や国民投票法改正案の審議がある。陰謀論者たちは「沢尻逮捕で盛り上がっているうちに、政府はこれらをササッと可決させるつもりだ」と疑ってもいる。