スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(17)の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「アイ・アム・グレタ」が来月、米動画配信サービス「Hulu」で公開される。

 2018年、15歳だったグレタさんはたった一人で「気候のための学校ストライキ」と書かれたプラカードを掲げ、スウェーデン議会の外で気候変動阻止を求める運動を始めた。同映画のネイサン・グロスマン監督は直後から撮影を開始。英BBCによると、当時は「短編作品にでもできれば」と思い、軽い気持ちで低画質の動画を撮ったという。

 同年、国連気候変動会議に招かれたグレタさんは、演説で各国首脳を辛辣辛に批判し、世界的注目を集めた。翌年には環境問題を提起する「未来のための金曜日」という学校ストライキ運動が世界に拡大。グロスマン監督は撮影モードをHD画質に切り替え、本格的に運動の全容を追った。

 同監督にとって初のドキュメンタリー作品だが、英紙ガーディアンは「冗舌だが、薄っぺらい」の見出しで酷評。同紙は、気候変動問題よりグレタさんの素顔紹介に終始し、取材対象に密着し過ぎて批判的観点を含めることをちゅうちょしたと指摘した。

 また、BBCは「困難で孤独な子供時代を過ごした少女が、やがて自身の中にあった隠れたパワーを発見し、世界を流れを変える」という〝スーパーヒーローもの的作品〟と皮肉った。

 グレタさんは先日、来月3日の米大統領選について、ツイッターで民主党・バイデン候補を支持するよう呼び掛ける〝政治声明〟を発表。米国内の一部からは「外国の選挙に干渉するな」との反発を招いた。

 これまでの活動を通じて多くの若者に影響力を持つとされるグレタさん。バイデン支持は、自分を「輝かしい未来を夢見る、おめでたい子供」とさげすんだトランプ大統領の再選阻止につながるのか。