音楽プロデューサーとして数々のロックアーティストの制作に携わり、画家、デジタルアーティストとしても活動する月光惠亮(つきみつ・けいすけ)が、漫画家・ジョージ秋山さんの「ザ・ムーン」とのコラボレーション作品「Destiny―KOSMO MEETS THE MOON」を制作した。きっかけは秋山さんの長男・命さんとの出会い。「こんな光栄なことはない」と、作品に込めた思いを語った。

 月光は1952年、東京生まれ。富山県で育ち、音楽活動を経て制作の世界へ。長戸大幸、織田哲郎とともに音楽制作会社ビーイングを創業し、BOOWYやLOUDNESSの制作、アートディレクションに携わった。84年にはパブリックイメージを設立。LINDBERG、ZIGGY、田村直美らを手がけ、日本のロックシーンを支えた。絵画にも活動の場を広げ、「CASE―K MOONSHINE」名義で作品を発表している。

 今回のコラボは、友人から「どうしても紹介したい」と命さんを引き合わせられたことから始まった。5月18日、東京・道玄坂のカフェで初めて対面すると、思いがけない提案を受けた。

「〝苗字が月光、つまりMoonlightなので、私の父の『ザ・ムーン』とのコラボ作品を作りませんか?〟と言われたんです」

 ただ、最初は「正直、あまりピンと来なかった」という。「アシュラ」「銭ゲバ」「浮浪雲」は知っていたものの、「ザ・ムーン」は題名だけでは記憶と結び付かなかった。

 しかし、命さんから説明を聞くうちに、かつて読んだ物語がよみがえった。

「あっ、昔読んだことがある!と思い出したんです。僕の生い立ちと重なる部分があって、すごく好きでした」

 ジョージ秋山さんは1943年、東京生まれ、栃木県足利市育ち。66年に「ガイコツくん」でデビューし、「銭ゲバ」「アシュラ」など、人間の欲望や生きることの根源に迫る作品を発表した。代表作「浮浪雲」は73年から2017年まで44年間にわたって連載され、小学館漫画賞も受賞。「ザ・ムーン」「ピンクのカーテン」など多くの作品を残し、20年5月12日に77歳で亡くなった。

 月光にとって、秋山作品は自身の歩みとも重なる特別な存在だった。10代、20代は「漫画オタクだった」と語るほど、膨大な数の漫画を読み、とりわけ「アシュラ」に強く引かれたという。

「自分の生まれ育ちと重なる部分がたくさんあったので、ジョージ秋山さんの作品の中でも『アシュラ』が最も好きでした。そのジョージ秋山さんの作品とコラボできるなんて、こんな光栄なことはないと大興奮しました」

 対面後は、命さんとSNSで何度も意見を交わしながら、少しずつアイデアを煮詰めた。本格的に制作へ取り掛かったのは8月初めごろ。完成までに2か月を費やした。

 作品にはドローイング、デジタル、AI、特殊印刷を駆使。「実物は3D的な要素がある、不思議な世界観の作品です」と説明している。